登録/更新年月日:2006(平成18)年1月27日 |
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【生涯学習支援を行う主体とその動向】 生涯学習支援を行う主体には、ア.行政組織とその外郭団体、イ.市場原理で学習機会を提供する民間営利団体、ウ.なんらかの理念に基づいて草の根的に生まれた市民活動団体、がある。NPOは、これら3分類ののうち、ウに分類される。具体的にNPOの範疇に含まれるものは、特定非営利活動法人(NPO法人)としての法人格を取得しているものをはじめ、法人化されていない任意団体や、仲間内のサークルである。 一般的に生涯学習支援を行う主体として真っ先に挙げられるものは、ア.行政組織とその外郭団体であろう。しかし、「生涯学習体系」の視点から社会教育行政の見直しが図られた、臨時教育審議会による「教育改革に関する第2次答申」(昭和62(1986)年4月)では、社会教育行政(ア)が「民間活力」(イとウ)を積極的に活用することの必要性が提言された。これは、民間の有する知識や技術、ネットワークを人々の生涯学習支援のために広範囲に活用していこうとするものである。 現在では上述のウに属する組織は、相当数存在するものと考えられる(認証を受けたNPO法人の数だけでも、内閣府が配信しているNPOに関する公式サイトのデータによると、平成16(2004)年6月30日時点には17,424法人であったのに対して、その約1年後の平成17(2005)年9月30日時点になると、23,608法人にまで急増している)。このように広がりをみせているNPOは、それぞれに独自の活動理念(使命)を掲げ、それに基づいて社会を切り拓くための活動に取り組んでいる。 【NPOと生涯学習支援の関係】 NPOが現代社会の抱える問題を解決するために活動を実践していく過程では、さまざまな学習機会が創出されている。NPO法人の17種類の活動分野を一瞥してもわかるように、NPOの活動分野には、現代社会の抱える問題の解決に向けて取り組むものが列挙されている。例えば保健・医療、環境保全、まちづくり、情報化社会の発展、職業能力の開発などのように、人々が社会全体の取り組みとして解決していくことが望ましい課題をめぐって、NPOが創出する学習機会は、人々の生涯学習のニーズに対応したものである。したがって、このような学習機会は人々の生涯学習の格好の機会であろう。 NPOによる生涯学習支援とは、NPOがその外部の人々を対象として企画する講座、シンポジウム、展示、各種イベントなどの学習機会を提供することである。また、NPOのメンバーも、こうした生涯学習支援を行う一方で、自らも生涯学習を行っているという側面を持っている。このように自らの学習を通して他者に学習機会を提供するNPOのことを、「学習支援NPO」と呼ぶ。そもそもNPOによる生涯学習支援とは、「人々の生涯学習の要望に、ボランティアがもっているいろいろな知識・技術などの特性を活用しながらこたえること」である、「生涯学習ボランティア」の考え方に重複するところが大きい。つまり、生涯学習支援を行うNPOのメンバーは、自らの学習によって、知識や技術、そしてNPO活動を潤滑に実施していくためのネットワークを獲得し、それらを社会に還元しているのである。 br> |
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参考文献 ・『生涯学習事典』日本生涯教育学会、1990年、355頁、(加藤雅晴「生涯学習ボランティア」) ・白石克己・田中雅文・廣瀬隆人『「民」が広げる学習世界』ぎょうせい、2001年 ・田中雅文『現代生涯学習の展開』学文社、2003年 ・http://www.npo-homepage.go.jp(内閣府が配信しているNPOに関する公式サイト) |
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