生涯学習研究e事典
 
登録/更新年月日:2006(平成18)年10月26日
 
 

高校生の生活技術習得 (こうこうせいのせいかつぎじゅつしゅうとく)

キーワード : 高校生、生活技術、家庭科教育、男女共修、生きる力
青柳育子(あおやぎいくこ)、小出房子(こいでふさこ)
1.高校生の生活技術習得
   
 
 
 
  【定義】
 生活とは、「労働過程と消費過程からなり、人間の生命と労働力の再生産過程」である。技術とは「物事をたくみに行なうわざであり、人間生活に役立てるわざ」である。「生活技術」は、日常生活を営むために必要とする技術のうち生計を立てるための技術を除外した技術であり、その内容は、炊事・洗濯・掃除・裁縫・食事・買い物・育児・教育・介護・看護・団らん、交際・ボランティア・地域活動など多様な技術を総称して言う。
【説明・動向】
 家庭科教育の目的は、学習主体である児童・生徒に、成長・発達に応じた学習を通じて、人間の一生と家族、家庭生活の意義を学ばせ、その充実向上を図るため実践的・創造的能力を養うことである。具体的には、家庭経営、衣生活、食生活、住生活、保育、看護・介護、福祉などに関する知識、技術、態度について総合的に能力を高めることを目標としている。
 歴史的には、わが国の家庭科教育は、明治以降女子のための教育であった。それが、第2次世界大戦終了後、1947(昭和22)年の教育基本法および学校教育法により、これまでの家事・裁縫科とは名称や内容を異にした「家庭科」が設置されたが、女子のみの教科である事は変わらなかった。それが、「男女とも生活を大切にする人間に育てよう」「生産優先の社会から生活優先の社会に」「協力してよい家庭をつくる男女を育てよう」「『男は仕事、女は家庭』という考え方を変えていこう」「男女ともに賢い消費者に」などの考えのもとに1974(昭和49)年に家庭科の男女共修をすすめる会が発足した。その後、1975(昭和50)年から「国連婦人の十年」が開始され、1979(昭和54)年に国連で「女子差別撤廃条約」の採択があり、社会の流れにそって1987(昭和62)年に教育課程審議会により「全国の中学・高校で家庭科の男女共修の実現」についての答申が出された。そして1989(平成元)年に学習指導要領が公示され、長い間の女子だけの「家庭科」は終わり、男女共修の家庭科が開始されることになった。
 1998(平成10)年に、完全学校週5日制の下、「ゆとり」の中で幼児・児童・生徒に「生きる力」を育成することをねらいとした教育課程審議会答申があり、この答申を踏まえて1999(平成11)年に高等学校指導要領が改訂された。その中で、普通教育としての「家庭科」の目標は、「人間の健全な発達と生活の営みを総合的にとらえ、家族・家庭の意義、家族・家庭と社会とのかかわりについて理解させるとともに、生活に必要な知識と技術を習得させ、男女が協力して家庭や地域の生活を創造する能力と実践的な態度を育てる。」とされている。普通教科に関する「家庭科」はすべての生徒が履修する教科であり、生徒の多様な興味・関心等に応じて、「家庭基礎」(2単位)、「家庭総合」(4単位)、「生活技術」(4単位)のうち1科目を履修することになった。男女共同参画社会が推進される現在、充実した家庭生活を送るために生活技術の習得は大きな課題と考える。
 
 
 
  参考文献
・文部科学省『高等学校学習指導要領解説家庭編』開隆堂出版株式会社、2006年
・井上義郎他編『人間生活ハンドブック』朝倉書店、1993年
・『新版家政学辞典』朝倉書店、2004年、168頁(鈴木俊子「生活技術と家庭経営」)
・家庭科の男女共修をすすめる会編『家庭科、男も女も』ドメス出版、1997年
 
 
 
 
   



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