生涯学習研究e事典
 
登録/更新年月日:2006(平成18)年1月27日
 
 

学校教育と生涯学習 (がっこうきょういくとしょうがいがくしゅう)

school education and lifelong learning
キーワード : 生涯学習の基盤整備、初等中等教育機関、高等教育機関、開かれた学校、地域の生涯学習関連施設
清水英男(しみずひでお)
1.学校教育と生涯学習
   
 
 
 
  【字義】
 ここでいう学校とは、学校教育法第1条に定められている学校とする。具体的には、小・中・高等学校、盲・聾・養護学校などの初等中等教育機関と大学・短大・高等専門学校などの高等教育機関とする。
 また、生涯学習とは、自らの必要に応じ、可能な限り自己に適した手段や方法を自ら選びながら、生涯を通して行う学習とする。
 ここでは、学校と学校教育は生涯学習システムの一環という観点に立ち、生涯学習における学校と学校教育の役割を明らかにする。
【説明】
 我が国の主たる教育といえば、従来から家庭教育、学校教育、社会教育に区分された3領域とされていた。生涯学習という考え方は、これら3領域のほかに、民間が行う各種の教育・文化事業・企業内教育などの意図的・組織的な学習活動や人々のスポーツ・趣味・レクリエーション・ボランティア活動なども内包している。
 一方、学校は、学校教育の専門家である教職員や教育の適時性などを踏まえた教育課程、教育専用の施設・設備などが整備された生涯学習にかかわる最も組織的・体系的・計画的な教育機能を有している。
 これらの優れた機能を有しした生涯学習のシステムとしての学校の主な役割は、次の2つに大別される。
1) 児童・生徒・学生の生涯にわたる自発的な学習活動の基礎・基本を培う学校教育の充実
 教育基本法第1条では、教育の目的を「人格の完成」と「平和的な国家及び社会の形成者」としている。これらの教育の目的は、学校教育法と社会教育法に基づき、学校教育と社会教育が共有している。この目的を達成するためには、生涯にわったて継続して学習できるよう教育・学習環境を整備・充実することが絶えず必要となる。
 このような観点に立った公教育としての学校教育は、児童・生徒・学生に対して、徳・知・体の調和のとれた人間形成の基礎を培うとともに、生涯学習の基本を身につけさせることが役割といえよう。つまり、特色ある教育課程などを編成し実践しながら、自ら考え判断し行動できる力や生涯にわたる自主的・自発的な学習活動を可能にする学習意欲と基礎的・基本的な資質・能力を培うことなどである。
2)開かれた学校づくり
 学校が生涯学習の観点にたった経営をおこなうためには、以下のような家庭や地域に開かれた学校とすることが求められている。
ア.家庭や地域との連携
 学校が、家庭と地域社会との連携を深めながら、家庭の教育力や地域の教育資源の活用をはじめ、地域の人々の学校経営への参画など家庭や地域の支援を受けて特色ある学校教育を推進することが肝要である。
イ.地域の人々の社会教育活動を支援する拠点としての生涯学習関連施設
 学校が、地域の人々の生涯にわたる学習活動を支援する拠点として、教育資源を開放する取り組みである。初等中等教育機関には、地域住民の身近な教育・文化・スポーツ活動の拠点としての学校施設の開放と開放講座などの学習機会の提供が求められている。高等教育機関には、社会人の受け入れを促進することが求められている。具体的には、社会人特別選抜や科目等履修制度の積極的な活用、夜間や通信制の短大、大学、大学院の拡充、単位認定制度の弾力化、公開講座や研究生の受け入れなどによるリカレント教育やリフレッシュ教育などへの多様な教育・学習機会の提供が期待されている。
 
 
 
  参考文献
・中央教育審議会答申『「生涯教育について』 昭和56年6月11日
・生涯学習審議会答申『今後の社会の動向に対応した生涯学習の振興方策について』 平成4年7月29日
・生涯学習審議会答申『地域における生涯学習機会の充実方策について』 平成8年4月24日
・中央教育審議会第一次答申『21世紀を展望した我が国の教育の在り方について』 平成8年7月19日
・鈴木眞理編集代表「社会教育と学校』 学文社 平成15(2003)年4月18日
 
 
 
 
   



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