生涯学習研究e事典
 
登録/更新年月日:2012(平成24)年11月12日
 
 

岐阜県恵那市の市民自治と生涯学習 (ぎふけんえなしのしみんじちとしょうがいがくしゅう)

キーワード : 地域自治区、市民自治、生涯学習都市宣言、三学のまち推進計画、市民三学運動推進委員会
横山幸司(よこやまこうじ)
1.岐阜県恵那市の市民自治と生涯学習
   
 
 
 
   岐阜県恵那市は、平成16(2004)年10月に1市4町1村による市町村合併を経て、現在の新しい恵那市となった。平成17(2005)年4月から地方自治法に基づく合計13の地域自治区を設置し、さらに市独自に、市民主体の「まちづくり実行組織」を設置するなど積極的に市民自治を推進している自治体である。
 同時に平成22(2010)年3月に、新しい生涯学習推進計画「恵那市三学のまち推進計画−生涯学習『市民三学運動』の推進に向けて」を策定し、平成23(2011)年4月には、「生涯学習都市宣言」を行うなど、「生涯学習のまちづくり」を進めている自治体でもある。
 「三学」とは、恵那市岩村町出身の幕末の儒学者佐藤一斎の言葉「三学戒」にちなんだものである。合併して新しい恵那市となった現在、この全国的に有名な先人の言葉を新市のアイデンティティとし、まちづくりにつなげようということである。
 そこで、本稿では、恵那市の取り組みについて紹介し、生涯学習が市民自治に貢献するための課題あるいは条件について若干の考察を述べたい。
 地方自治法に基づく一般制度としての地域自治区制度は、平成16(2004)年5月26日に公布された「地方自治法の一部を改正する法律」によって、法定されたものである。
 地域自治区は、住民に身近な市町村事務を行う市町村職員からなる事務所と、住民の代表から組織される地域協議会により構成されるが、ここで重要なのは、この制度は住民の意思を行政に反映させる体制づくりであるとともに、住民に身近な公共サービスにおける「地域協働」の要となるものとしても、法的に位置づけられていることである。
 前述の「恵那市三学のまち推進計画−生涯学習『市民三学運動』の推進に向けて」は、三つの政策の柱からなる。すなわち、1)「読書のすすめ」、2)「求めて学ぶ」、3)「学んで生かす」である。特にこの3)「学んで生かす」において、市民が生涯学習によって学んだことを生かし、地域自治区等でのまちづくり活動へ参画していくことが期待されている。
 市では、各地域協議会の代表が入った「市民三学運動推進委員会」ならびに「地域委員会」が組織され、各地域自治区や公民館と連携を図りながら三学運動の推進・啓発、「市民三学地域塾」の開講などが進められている点が特徴的である。また、平成23年度より、公民館をコミュニティセンターに改称し、センター長は市長部局の振興事務所長が兼ねることになった。このことは、恵那市のまちづくりが、生涯学習の推進と同時に市民自治の促進を図ることを目的としていることの大きな現れである。生涯学習活動の実践は、協働の実践であり、市民自治の具現化といえよう。
 しかし、市が目標とする生涯学習によって市民自治を高めていくまちづくりのためには幾つかの課題あるいは条件があると考える。
第一に、市民自治と生涯学習活動の実践の場として地域自治区が機能することである。
第二に、そうした地域自治区を有効に機能させるためには生涯学習の機能が必要不可欠であるという点である。これまで、生涯学習・社会教育が培ってきたネットワークやコーディネート機能が生かされていくことが重要である。
第三に、市民、職員、出先機関、地域自治組織ともに必要な意識改革である。生涯学習によって市民自治の向上を図っていくという意識の浸透が必要である。
 
 
 
  参考文献
・恵那市役所ホームページ http://www.city.ena.lg.jp/
 
 
 
 
   



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