登録/更新年月日:2007(平成19)年3月6日 |
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最近、大学の教育・研究機能と並んで、第3の機能としての「社会貢献」の重要性が強調されるようになっている。平成17(2005)年1月に出された中央教育審議会答申「わが国の高等教育の将来像」でも、このことについて次のような指摘をしている。 「大学は、教育と研究を本来的な使命としているが、現在においては、大学の社会貢献(地域社会・経済社会・国際社会等広い意味での社会全体の発展への寄与)の重要性が強調されるようになってきている。当然のことながら、教育や研究それ自体が長期的観点からの社会貢献であるが、近年では、国際協力、公開講座、産学官連携等を通じた、より直接的な貢献も求められるようになっており、こうした社会貢献の役割を、言わば大学の『第三の使命』としてとらえていくべき時代になっているものと考えられる。 このような新しい時代にふさわしい大学の位置付け・役割を踏まえれば、各大学が教育や研究等のどのような使命・役割に重点を置く場合であっても、教育・研究機能の拡張(extension)としての大学開放の一層の推進等の生涯学習機能や地域社会・経済社会との連携も常に視野に入れていくことが重要である。」 1)社会貢献活動が活発化してきている背景 まず背景として第1に挙げられるのは、上記答申にも見られるような国としての高等教育政策の強い方向付けである。特に、大学教育の充実改善をねらいに平成15(2003)年度から導入された競争的環境の下に特色ある取組みを選定し、それらに財政支援を行うとともに選定事例を広く社会に情報提供していく「特色ある大学教育支援プログラム」(特色GP)やそれに引き続く「現代的教育ニーズ取組支援プログラム」(現代GP)などの誘導策の影響が大きい。(GPはグッド・プラクティスの略) 第2は、特に国立大学における法人化に伴う危機感に由来するものである。大学も社会との連携を基礎に地域のニーズを積極的に捉え地域と連携し、その成果などを大学の活性化に結びつけ教育研究活動に活かすという視点が無ければ、社会から遊離し、その基盤を失い生き残れないと考える大学が増えていることである。第3番目は、大学のユニバーサル・アクセスに伴う学生の層の多様化と質の変化等への対応といった側面が挙げられる。大学の大衆化が進みつつある現状の中で、多様な学生達の学習意欲を喚起させるには、学生を大学の外に出し社会の一員としての自覚を持たせることが有効であるとの認識が広まり、これらを背景に学生を含めた様々な地域連携活動が模索されつつあることである。 2)従来の取組との大きな違い 大きな違いは、大学の従来の取組が教員等の個別的な対応であったのに対して、社会貢献活動は大学の基本的な機能として位置付けられ「組織的に総合的に」取り組まれている点にある。第2は、社会貢献活動の多様化と広がりの点である。公開講座や単発事業だけでなく、大学の多様な知的資源を活かした学際的な取組が模索されている点である。また教員だけでなく、学生のボランティア活動やインターシップ等での取組も盛んになりつつある。第3は、大学等技術移転促進法(TLO法)に見られるように、理工系の分野を中心とした大学の研究機能と産業界との積極的な連携が推進されている点などが挙げられる。 br> |
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参考文献 ・中央教育審議会「我が国の高等教育の将来像(答申)」(平成17年1月28日) |
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