生涯学習研究e事典
 
登録/更新年月日:2006(平成18)年1月27日
 
 

次世代育成支援対策推進法と生涯学習推進 (じせだいいくせいしえんたいさくすいしんほうとしょうがいがくしゅうすいしん)

The Law for Measures to Support the Development of the Next Generation and the promotion of lifelong learning
キーワード : 少子化(社会)対策、(新)エンゼルプラン、次世代育成支援に関する当面の取組方針、少子化社会対策基本法、子ども・子育て応援プラン
坂直史(ばんなおふみ)
2.次世代育成支援対策推進法と生涯学習の推進
  
 
 
 
  【次世代育成支援対策推進法と生涯学習の関連】
 次世代育成支援対策推進法は、少子化対策の一環として制定された法律であることから、各種行動計画の内容も教育の取組が中心とはなっていない。試みに市町村行動計画について見てみると、同計画に盛り込むべき事項としては、(1)地域における子育ての支援、(2)母性並びに乳児及び幼児の健康の確保及び増進、(3)子どもの心身の健やかな成長に資する教育環境の整備、(4)子どもを育成する家庭に適した良質な住宅及び良好な居住環境の確保、(5)職業生活と家庭生活との両立の推進、(6)その他の次世代育成支援対策の実施、が掲げられている(法第8条第1項)。
 行動計画策定指針においては、これらの施策の領域を踏まえ、計画の策定に当たり内容に盛り込むべき施策が例示されているが、生涯学習に関連する領域としては、(3)の「子どもの心身の健やかな成長に資する教育環境の整備」が挙げられる。同領域には、ア.次代の親の育成、イ.子どもの生きる力の育成に向けた学校の教育環境等の整備、ウ.家庭や地域の教育力の向上、エ.子どもを取り巻く有害環境対策の推進、が挙げられ、さらに、イの「子どもの生きる力の育成に向けた学校の教育環境等の整備」には、確かな学力の向上、豊かな心の育成、健やかな体の育成、信頼される学校づくり、幼児教育の充実、ウの「家庭や地域の教育力の向上」には、家庭教育への支援の充実、地域の教育力の向上、といった生涯学習関連の内容が例示されている。
 都道府県行動計画についても、ほぼ同様のものとなっており、各都道府県・市町村における行動計画の内容には、生涯学習に関する内容が、上述のような領域を中心に、盛り込まれたものとなっている(ただし、法制定に伴う新規の施策は必ずしも多くはない。)。なお、一般事業主や、都道府県、市区町村などの特定事業主が策定する行動計画の内容は、雇用環境の整備に関する事項が中心であり、生涯学習との関連は薄い。
【少子化社会対策基本法と生涯学習】
 第156回国会においては、次世代育成支援対策推進法とは別に、衆議院議員提出の少子化社会対策基本法が成立した(平成15(2003)年7月30日法律第133号)。それに伴い、内閣総理大臣を会長とし、全閣僚により構成される少子化社会対策会議が内閣府に設置され、少子化対策は、厚生労働省という一省庁を中心とする取組から、政府が一体となっての取組に格上げされた。
 平成16(2004)年6月4日には、少子化に対処するための施策の指針として、少子化社会対策大綱が閣議決定され、さらに、平成16年12月24日には、新エンゼルプランに代わる新たなプランとして、「少子化社会対策大綱に基づく重点施策の具体的実施計画について」(子ども・子育て応援プラン)が決定された。この「子ども・子育て応援プラン」には、大綱に盛り込まれた施策のうち、地方公共団体や企業等とともに計画的に取り組む必要があるものについて、平成21(2009)年度までの5年間に講ずる具体的な施策内容と目標が、生涯学習に関連するものを含め、掲げられている。
 なお,少子化の状況及び少子化に対処するために講じた施策は、「少子化社会白書」として取りまとめられており、少子化関連の生涯学習施策の把握には、次世代育成支援対策推進法を受けた各種行動計画と併せ見ていく必要がある。
 
 
 
  参考文献
内閣府「少子化対策・高齢化対策」(http://www8.cao.go.jp/kourei/index.html)
 
 
 
 
  



『生涯学習研究e事典』の使用にあたっては、必ず使用許諾条件をご参照ください。
<トップページへ戻る
 
       
Copyright(c)2005,日本生涯教育学会.Allrights reserved.