登録/更新年月日:2011(平成23)年9月22日 |
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【定義】 国連環境国際会議(1992)や環境と開発をめぐる国際会議を通じて、ESD(持続可能な開発のための教育、略して持続発展教育)は人類の共通目標と確認された。ESDは経済開発・社会開発・環境保全の理念を基に、「将来の世代が自らのニーズを充足する能力を損なうことなく、今日の世代のニーズを満たす」「より質の高い生活を次世代も含む全ての人々にもたらすことができる状態の開発を目指す」ことである。そのために地球的視野で考え、身近な問題解決に取り組む(think globally, act locally)ことが大切である。そして2002年の「持続可能な開発に関する世界首脳会議」と同年の第52回国連総会で、日本が提案した「持続可能な開発のための教育の10年」が採択され、2005年から本格的に動き出した。 【説明】 ESD中間年の第34回ユネスコ総会(2007)では「DESD:国連持続可能な開発のための教育の10年の更なる推進」が決議された。 @持続可能な開発を、将来の人間の尊厳と万人に利益をもたらすグローバル化の過程を保証する重要な事項であることを認識すること ADESDがEFA(Education for All)の目的のひとつである質の高い教育を推進し、ミレニアム開発目標の達成を支えることを主張すること BDESD内における地域協力を促進するために、あらゆる地域からの多様な主体間の対話を継続し、促進すること C革新的な手法やESDの学習プロジェクトのアイディアの研究拠点として、ASP(ユネスコ共同学校Associated School Project Network)ネットワークを十分に活用し、若年層へのユネスコ支援を強化すること これは、いわゆるESDの更なる推進のためにユネスコスクールを充分に活用すべきということである。2009年の第35回ユネスコ総会では、ドイツと日本の共同戦略案(ボン宣言を含む)「持続可能な開発のための教育の10年(DESD)」が後半の更なる推進のために決議された。 【課題】 ESDは持続可能な社会の担い手を育む教育であり、1)人格の発達や自立心、判断力、責任感等の人間性を育むこと、2)他人との関係性、社会との関係性、自然環境との関係性を認識し、「関わり・つながり」を尊重できる個人を育む観点が重要である。そのために環境教育、国際理解教育等にとどまらず、環境、経済、社会、文化の学際的かつ総合的な取り組みが必要である。ESDの課題は、1)持続可能な発展のために求められる原則、価値観及び行動があらゆる教育や学びの場に取り込まれること、2)すべての人が質の高い教育の恩恵を享受すること、B環境、経済、社会の面において持続可能な将来が実現できるような価値観と行動の変革をもたらすことである。そして、平成20(2008)、21(2009)年に公示された学習指導要領には「持続可能な社会の構築」の観点が盛り込まれ、ESDの考え方に沿う教育を行うこととなった。また、平成18(2006)年の改正教育基本法に基づいた教育振興基本計画で、ESDを我が国の教育の重要な理念と位置づけ、今後5年間に取り組むべき施策と明記した。今後は学校教育の中にESDの理念をどのように盛り込み、具体化していくかが課題である。 br> |
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参考文献 ・文部科学省国際統括官付『第32回ユネスコ総会 概要報告』2004年 ・文部科学省国際統括官付『第34回ユネスコ総会 概要報告』2008年 ・文部科学省国際統括官付『第35回ユネスコ総会 概要報告』2010年 ・日本ユネスコ国内委員会『ユネスコスクールと持続発展教育(ESD)について』2010年 ・宮崎冴子『社会教育・生涯学習-学校と家庭、地域をつなぐために』2011年 |
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