生涯学習研究e事典
 
登録/更新年月日:2023年8月11日
 
 

学生による地域学への挑戦(がくせいによるちいきがくへのちょうせん)

キーワード : サービス・ラーニング(社会貢献学習) 、学生ボランティア 、地域学 、市民性(シティズンシップ) 、批判的思考力
山田明(やまだあきら)
 
 
 
  1.地域学への挑戦
 中央教育審議会は、社会教育による人づくり・地域づくり・つながりづくりを答申した(2018)。学生がキャンパスを出て地域住民と交流し、その活動が地域貢献につながれば大きな成果をもたらす。15名の学生ボランティアがプロジェクトに取り組み、江戸時代以来、地域発展に寄与してきた開削運河である「堀川」の真実(地域住民にも認識されていない困難を極めた工事の真の目的)に迫った地域学である。
 
 
 
  2.堀川400周年記念サービス・ラーニングプロジェクト
 本プロジェクトは学生の社会貢献の学びとしてサービス・ラーニングの手法を採用した。サービス・ラーニングとは、「コミュニティのニーズを満した教科カリキュラムと連関したサービス活動を通して、児童・生徒・学生のセルフ=エスティームやシチズンシップを涵養する学びであり、事前準備(Preparation)・活動(Action)・振り返り(Reflection)・祝福(Celebration)のプロセスを含む社会貢献型の体験学習である」(日本生涯教育学会/生涯学習研究e事典/アメリカのサービス・ラーニング 山田明)。活動期間は2000年4月〜2021年3月、活動内容は以下のとおりである。事前準備(Preparation)として郷土史家(講義)による学習会受講・調査分担・自己学習、活動(Action)としてフィールドワーク・冊子作製(原稿、編集、レイアウト)、振り返り(Reflection)として報告会・アンケート調査・インタビュー、祝福・祝賀会(Celebration) として冊子データ配布(自治体、住民等)・座談会(表彰を含む)・新聞(全国紙)への掲載を実施した。
 
 
 
  3.学生の学修成果
 事前・事後アンケートにおいては、市民性(シティズンシップ)の涵養を問いたアンケート(事前事後の共通問題、事後は追加質問あり)において、情報収集力・分析力・批判的思考力・課題解決力に学修成果が見られた。特筆すべきは、運河「堀川」工事の真の目的を再認識し地域住民に伝えようとしたことで、批判的思考力が向上したようである。祝賀会(祝福)での学生ボランティアの主な意見は、以下のとおりである。プロジェクトを通して地域の魅力を再発見し、地域の歴史遺産を次世代へ継承する必要性を認識した。冊子作製において、読者への伝え方、正確な伝達(記事の精選と確認作業、文章表現)などに学びがあった。身に付けた資質能力としては、地域への認識、地域資源の情報収集、情報の整理・分析・伝え方である。今後の活動希望として、郷土のまちづくり、地域の人々との交流、地域の魅力を伝える活動に参加したいという意見が多くみられた。
 
 
 
 
   



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