生涯学習研究e事典
 
登録/更新年月日:2022年8月27日
 
 

筑前大島における学生による健康スポーツを通した地域活性化(III)(ちくぜんおおしまにおけるがくせいによるけんこうすぽーつをとおしたちいきかっせいか(III))

キーワード : 生涯スポーツ 、健康スポーツマネジメント 、学生ボランティア
山田明(やまだ あきら)
 
 
 
  1.宗像市「元気な島づくり事業」(大島プロジェクト)
 福岡県宗像市の離島である大島で、九州共立大学スポーツ学部に在籍する学生ボランティアが、5年間にわたり取り組んできた。この健康スポーツ支援の総括として、住民が日常的に活用でき、恒常的に運営できる組織の立ち上げを生涯スポーツ・地域スポーツ振興の視点で自治体及び島民に提案した。
 筑前大島における喫緊の地域課題の一つに、離島住民の高齢化を背景とした健康づくりの促進があり、すべての世代における健康スポーツへのニーズがあった。学生においては大学での学び(スポーツ科学)を活用できる貴重な社会貢献の機会であり、市民性に関する資質能力の向上が期待できた。本プロジェクトは宗像市の補助金(元気な島づくり事業)を得て実施した5年間継続プロジェクト(2018〜2022)であり、最終年にあたり健康スポーツが常時可能になる組織の立ち上げを目指した。
 
  (参考文献)
・山田明「筑前大島における学生による健康スポーツを通した地域活性化」『生涯学習研究e事典』日本生涯教育学会、2020年1月。
 
 
 
  2.2018年以降の取り組み(概要)
 本プロジェクトは、事前調査として実施した住民アンケートの分析を通して、島民の健康維持及び増進への関心の強さ、運動不足の解消へのニーズを確認して開始した。学生にもアンケート調査を実施し、社会貢献活動への興味関心、課題解決能力、計画実行能力、コミュニケーション等の資質能力の向上(市民性の涵養)への期待を確認した。毎年実施のプロジェクトについて、振り返りを継続しつつ課題を整理した。課題には、島民への広報及び周知、健康スポーツ種目の内容充実、学生ボランティアのスキル向上、島民が常時スポーツをできる組織の立ち上げなどが明らかとなった。 
 
  (参考文献)
・山田明「筑前大島における学生による健康スポーツを通した地域活性化(II)」『生涯学習研究e事典』日本生涯教育学会、2020年11月。
 
 
 
  3.大島プロジェクト2022
 これまで実施してきたプロジェクトの総括として、離島における健康スポーツの課題への処方箋を検討した。自助の理解(自治意識、地域福祉における島民の主体性)、共助の在り方(継続的な健康スポーツ運営システム構築の必要性、設立母体の形態及びスポーツボランティア)、公助の役割(組織運営に対する自治体、スポーツ協会等の支援)について、生涯スポーツ、地域スポーツ振興の視点で健康づくりに資する組織の立ち上げを自治コミュニティ、青年団、漁協、学校、PTA、敬老会、スポーツ団体、その他組織に提案した。離島という地理的要因があっても、健康スポーツが十分に享受できる支援が必要である。その意味で自治体にも提案した。継続的な健康スポーツマネジメントの構築、運営の基盤となるモデルの形態については、以下の6つである。地域母体型(自治コミュニティ、自治会、青年団)・学校母体型(PTA、子ども会)・企業母体型(地元企業、団体)・スポーツ団体母体型(スポーツクラブ、スポーツ少年団)・総合型地域スポーツクラブ・行政主体型(宗像市)である。
 
 
 
 
   



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