登録/更新年月日:2012(平成24)年4月2日 |
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実際の活動状況として、著者が取材したM.I.の例では、平日は地域の保育所・小学校・市町村音楽院を4〜5校巡回し、学期末の休日や夜間(夏季の野外は、二十時でも十分明るい)は、学校で開催する授業成果発表音楽会の指導にも当たる。巡回先それぞれの教育目的に合わせて、多彩な教育を行っている。 ギターの弾語り、アコーディオンの弾語り、打楽器によるリズム伴奏、アフリカの民族楽器演奏、世界の唱歌指導、ファゴット演奏、歌唱指導、編曲とあらゆる音楽活動や音楽文化の解説で子どもたちを指導する。また、通常の授業に加え文化行事の音楽部分も担当する。保育所では、保護者のコーラス指導も行う。 彼は、地域圏音楽院でファゴットを専攻し、ファゴット奏者として活動していたが、子どもに教えることに関心が高かったため、「学校参与音楽家」養成センターに入学したとのことである。養成センターにおける教育内容は、実践に有用であったが、ギター演奏は個人レッスンに通い習得したという。 ファゴット奏者を志し、演奏家としてのキャリアも積んだ後に、教育者としての再教育を受け活動していることは、音楽の専門教育を受けた者の進路としても可能性が広がるように感じられた。また日本の音楽科授業では、教師はピアノを使うことが基本となっているが、この例のように様々な楽器を使用することは、音色の繊細さや多様性を育む上で大変意義深いものと考えられた。これは物理的にフランスの場合は、学校にピアノが無い場合が多いからなのではあるが、結果的に教師や授業の多様性を生み出しているように思われた。活動の形態に関しては、M.I.は地域において様々な関係機関を巡回するため、自身の演奏活動など学校に限定されない幅広い活動が可能となり、地域におけるコミュニケーションにも寄与するのではないかと考えられる。 br> |
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参考文献 ・永島茜「フランスにおける学校参与音楽家−音楽普及の面からの位置づけ−」『季刊音楽文化の創造−音楽文化と生涯学習の総合情報・研究誌−』第36号、2005年3月、pp.70-73. |
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