生涯学習研究e事典
 
登録/更新年月日:2006(平成18)年1月27日
 
 

教師のリカレント教育 (きょうしのりかれんときょういく)

recurrent education for teachers
キーワード : 教育職員免許法、専修免許状、教員の大学院派遣、大学の中で社会人に開かれた各種制度、現職研修
岡本早智子(おかもとさちこ)
1.教師のリカレント教育
   
 
 
 
  【定義】
 教師のリカレント教育とは、教師(主として幼・小・中・高等学校教員)が仕事を続けながら、あるいは、一時中断して、学校(主として高等教育機関)を活用した教育や研修を受けることにより、職業人としての資質を高める教育のことをいう。
【必要性】
 教師のリカレント教育の必要性には次の各点があげられる。
1)教師には、不断の人間的な成長が求められている。通常、多くの教師は20歳代から60歳頃まで勤務を継続している。この間、人間として成長し続けるためには、教員養成期に受ける教育のみでは不十分で、途中適切なリカレント教育を受ける必要がある。
2)急激な社会の変化の中で、教育の内容、方法、技術等はめまぐるしく変化し進展している。これらの変化に対応していくためには、リカレント教育機会が整備され、適切な現職研修が受けられることが必要である。
3)教師として新しい資格を取得するためには、リカレント教育が必要である。教師の資格は「教育職員免許法」によって授与される免許状を有することであるが、例えば、昭和63年に制度化された専修免許状の取得は、大学院修士課程レベルの履修を条件としている。この様な制度に対応して、新しい専門分野に挑戦したり、新しい資格を取得しようとする時にリカレント教育機会の活用が必要となる。
【種類】
 教師のリカレント教育の機会は、次の各種類に分けることができる。
1)大学の中で社会人に開かれた各種制度を活用したリカレント教育
 聴講生、大学院(夜間大学院等)入学、科目等履修などの制度を活用してリカレント教育を行い、新しい資格取得や、急激な社会変化に対応する専門的力能を高めることが出来る。特に大学院修士課程での研修は、昭和55年度から始められた「公立学校教員の大学院への派遣」事業が大きな役割を果たしており、この他に夜間大学院での修学や休職による大学院研修も制度化されている。
2)遠隔地で修学可能なリカレント教育
 仕事を続けながら、自分のペースに合わせて新しい資格取得等をめざしてリカレント教育を受けようとする際に有効なのが、放送大学や通信制大学及び大学院の活用などの通信教育である。
3)大学等が行う公開講座や現職者キャリアアップ講座の活用によるリカレント教育
 特に教育の専門分野の最新情報、新しい指導技術等を学び取るためには、大学等高等教育機関が地域貢献のために実施する各種公開講座やキャリアアップ講座などを活用することが有意義である。
 
 
 
  参考文献
・川野辺敏監修・山田達雄編集『生涯学習・日本と世界、上、日本の生涯学習』エムテイ出版.平成7(1995)年
・教育職員養成審議会答申『修士課程を積極的に活用した教員養成の在り方について−現職教員の再教育の推進−』(第2次答申)平成10(1998)年
・教育職員養成審議会答申『養成と採用・研修との連携の円滑化について』(第3次答申)平成11(1999)年
 
 
 
 
   



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