登録/更新年月日:2007(平成19)年6月24日 |
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(1)家庭教育と社会教育法の「社会教育」の関係 正規の学校教育等(フォーマル・エデュケーション)以外の教育活動については、「組織的」なものを「ノン・フォーマル・エデュケーション」と、また、「非組織的」なものを「インフォーマル・エデュケーション」と呼ぶことが、国際的に定着している。 日本の社会教育法における「社会教育」の概念は、定義規定によって「組織的な教育活動」に限定されている。このため、公民館での講座、大学での公開講座、学校のクラブ活動での指導、企業の「off-the-job トレーニング」などの組織的なもの(ノン・フォーマル・エデュケーション)は、社会教育法の社会教育に含まれることになる。 これに対して、家庭内で行われる親から子への教育や、企業内で仕事中に行われる上司から部下への教育(on-the-job トレーニング)など、その都度行われる非組織的なもの(インフォーマル・エデュケーション)は、社会教育法における社会教育には含まれない。 したがって、社会教育法に基づいて行われてきた家庭教育関係の教育活動は、「家庭教育そのもの」ではなく、「家庭教育を良くするための親等を対象とした社会教育」である。 (2)家庭教育と旧教育基本法の「社会教育」の関係 社会教育法が社会教育の概念を「組織的」なものに限定していたのに対して、改正前の教育基本法における「社会教育」は「家庭教育及び勤労の場所その他社会において行われる教育」(第7条)を意味するものとされ、「ノン・フォーマル・エデュケーション」と「インフォーマル・エデュケーション」の双方を含む概念であった。 したがって、旧教育基本法においては、家庭教育は、同条の規定により「国及び地方公共団体」によって「奨励されなければならない」ものとされていたわけである。 (3)家庭教育と新教育基本法 平成18(2006)年に改正された教育基本法は、家庭教育に関する条文(第10条)を独立させたが、これに伴って教育基本法上の社会教育の概念は、「ノン・フォーマル・エデュケーション」+「インフォーマル・エデュケーション」−「家庭教育」に狭められた。 改正後の第10条は、家庭教育に関する国・地方公共団体の義務について、これを「支援するために必要な施策を講ずるよう努めなければならない」と規定しているので、今回の改正によってこの義務は、「奨励」から「支援」に変わったと言える。 その背景には、家庭教育をめぐる問題の深刻化がある。「奨励」とは、「なされていなかったものがなされるように促す」ことを意味するが、今や「なされている」だけでは不十分であり、「どんな家庭教育か?」が問題とされる時代になっている。 さらに、改正後の教育基本法が、家庭教育について、「父母その他の保護者」の「第一義的責任」ということを新しく明記し、その具体的な義務として「生活のために必要な習慣を身に付けさせるとともに、自立心を育成し、心身の調和のとれた発達を図るよう努めるものとする」という規定を新たに置いたことも、注目に値する。 br> |
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参考文献 |
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