生涯学習研究e事典
 
登録/更新年月日:2009(平成21)年8月27日
 
 

ユネスコ公共図書館宣言 (ゆねすここうきょうとしょかんせんげん)

UNESCO Public Library Manifesto
キーワード : ユネスコ、公共図書館、民主主義、国際図書館連盟、地域の情報センター
佐藤容子(さとうようこ)
2.94年版の具体的内容
  
 
 
 
   現時点での最新版である94年版の主な内容は次のとおりである。
 この宣言は、「公共図書館」「公共図書館の使命」「財政、法令、ネットワーク」「運営と管理」「宣言の履行」からなる。
1)「公共図書館は、個人および社会集団の生涯学習、独自の意思決定および文化的発展のための基本的条件を提供する」と述べて、公共図書館の多様な目的を示すと共に、12項目の基本的使命を明らかにしている。
2)「蔵書とサービスには、伝統的な資料とともに、あらゆる種類の適切なメディアと現代技術が含まれていなければならない」と述べ、資料・情報の多様化に対応している。
3) 公共図書館を地域の情報センターとする考え方が表明されている。例えば、「公共図書館は、その利用者があらゆる種類の知識と情報をたやすく入手できるようにする、地域の情報センターである」と定義するほか、「公共図書館の使命」として、市民の地域情報入手への援助、地域の企業や協会等への適切な情報サービス、情報を検索しコンピュータを駆使できるような技能の発達への援助、などに言及している。
4)「地域社会の要求に対応して、目標、優先順位およびサービス内容を定めた明確な方針」の策定が求められており、地域社会とのかかわりを重視している。
5)全国的な公共図書館のネットワークと共に、他館種の図書館も含めた協力の必要性が指摘されている。
6)蔵書およびサービスは、いかなる種類の検閲や商業的な圧力にも屈してはならないことを述べている。
7)公共図書館のサービスは、「すべての人が平等に利用できるという原則に基づいて提供される」と述べ、公共図書館はすべての人に公開されなければならないことを明確にしている。
8)「公共図書館は原則として無料」としている。72年版には見られなかった「原則として」という文言が加わったが、無料制は維持されている。
9)「国および地方自治体により経費が調達されなければならない」としている。
これは無料制の基盤となるものである。
10) 公共図書館は「特定の法令によって維持され」なければならないとし、公共図書館について規定する法令の重要性を強調している。
11)「国および地方の政府が公共図書館の発展を支援し、かつ積極的に関与することを奨励」している。
12) 国および地方自治体の政策決定者と全世界の図書館界に宣言の履行を要請している。
 
 
 
  参考文献
 
 
 
 
  



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