登録/更新年月日:2006(平成18)年7月31日 |
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【定義】 生活体験とは、「世の中で暮らしていくための力」を体得していこうとする考えで、「生活力や生きる力の習得」が基本にある。 【説明】 ここでは「生きる力」を、「生物として生きる」と「社会性を持った人として生きる」の2点から考えてみたい。 先ず「生物として生きる」を2つの視点からみていく。一つは自分で餌を採って食べることであり、人間としては食材を買ってきて自分で調理をして食べることである。包丁が使えない、料理ができない若者が増えているが、刃物は道具であり道具は使えなければ意味がない。「刃物は危険だから使わせない」は決して正論ではない。二つ目は、「自分の命は自分で守る」ことである。子どもの命を守ることは親の責任であり、自分の命を自分で守る術を親は子どもにしっかりと教えなければならない。人通りの少ない場所や暗い場所には近づかない、一人での行動は避ける、知らない人にはついていかない、何かあったら大声で叫ぶなど、親子で十分に話し合うことが大切である。 次は「社会性のある人として生きる」であり、それは「自分で考え、自分で判断し、自分で決めて、行ったことは自分が責任を持つ」ことにつながらなければ意味がない。「大人になりたいか」との質問に過半数が「かわからない」と回答するように、自己決定のできない子どもが確実に増えてきている。 平成16(2004)年度に関東・東北地域の小中学生を対象に行った調査から「全然していない」を挙げてみると、「自分の下着などの洗濯」43.6%、「食料品などの買い物」21.6%、「ナイフなどで果物の皮をむく」21.5%、「ベッドの整理など」15.8%、「朝、自分一人で起きる」11.4%、「食事の準備や片付け」9.4%などと答え、生活力は家庭における継続的な積み重ねが重要といえる。さらに、「家庭が楽しい」と答える子どもは「学校が楽しい」の比率が極めて高く、友だち関係も良好で、家のお手伝いなどもよくしている傾向がみられる。特に、「家族の会話が楽しい」「親が自分の意見を良く聞いてくれる」が家庭のあり方の重要なポイントである。 また自然教室終了後の調査では、「友だちと仲良くできるようになった」「簡単な料理が作れるようになった」「食事の片付けができるようになった」など、生活能力に関する成果が大きく現れてくる。「自然教室」の計画の際、家庭生活の状況の把握や、保護者との連携が極めて大切であることが指摘できる。 豊かで便利な生活は子どもの成長にプラスに働いているとは言い難く、人は、家庭、学校、地域社会をバランス良く経験しながら多くを学んできたし、これからもそれは変わらないであろう。学力低下もさることながら、生きる基本としての「生活力の習得」に親や教育関係者はもっと力を入れるべきである。 br> |
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参考文献 ・斎藤哲瑯「子どもたちの自然体験・生活体験等に関する調査」平成13(2001)年、16(2004)年 |
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