生涯学習研究e事典
 
登録/更新年月日:2019年12月27日
 
 

授業支援ボランティアの現状と課題(じゅぎょうしえんぼらんてぃあのげんじょうとかだい)

キーワード : 授業支援 、学校支援 、ボランティア 、地域 、教育
石田香里(いしだかおり)
 
 
 
  1.授業支援ボランティアの現状と課題
【定義】
 様々ある学校支援ボランティアの中でも、授業支援を行うものが授業支援ボランティアである。内容は各学校により異なるが、地域の特色を生かした授業や活動をするにあたり、教員ではない学校外の人材がボランティアとして、地域住民だけでなく、その道の専門家が、支援を依頼された特定の分野においての専門性を発揮し支援を行うこともある。
【説明】
 平成8(1996)年7月に公表された第15期中央教育審議会第一次答申は、「開かれた学校づくり」を進めるためには、学校が地域の教育力を生かし、家庭や地域社会の支援を積極的に受けるべきだと述べ、その具体的方法の一つとして「学校ボランティア」としての協力を得るよう提言し、翌年策定された文部省(当時)の「教育プログラム」では、「学校支援ボランティア」と表記されている。
 公募する場合には、専門性を問わない内容で募集するが、直接本人に依頼をする場合には、教員や地域住民からの推薦・要望を汲み取り、最終的に学校長が判断し、専門的知識・技術また信頼関係から依頼する。
【動向】
 平成7(1995)年に起きた阪神淡路大震災をきっかけに、今日、日本でも多くの人がボランティア活動をするようになったが、更に地域に根ざした学校づくりをするためには、地域住民による様々な学校支援ボランティアが必要になってくるといえる。しかし、授業支援ボランティアによる活動は、地域や保護者にはあまり知られておらず、授業という括りに限らず、学校支援ボランティアという言葉すら浸透しておらず、学校と地域との連携の様子を広く伝えることが必要である。
【課題】
 授業支援ボランティアは、学校によっても異なるが、ほぼ無償でのボランティアなので、特に直接依頼をする際に頼みにくい、という課題がある。授業支援ボランティアは、専門的知識を有している場合が多いが、ボランティアでお願いしているので、交通費や謝礼はないという学校もあるが、授業回数が多くなるにつれて、無償でお願いすることへの学校側の「心苦しさ」があるからである。
 更に、学校教育や教育に関する情報や研修が、教員に対しては行われるが、授業支援ボランティアは対象外になることから、情報を得たり研修を受けたりすることが難しい。学校側の求めに応じてのボランティアなので、年間を通して全体を見渡すことが難しく、授業の進め方など教員との事前の綿密な打合せも出来ないこともある。
【事例】
 岐阜県揖斐郡池田町立池田小学校では、平成29(2017)年度には地域安全、クラブ、読み聞かせ、授業支援と学校支援ボランティアは、合わせるとのべ81人と2団体が登録している。中でも授業支援ボランティアに分類されるクラブと授業支援は、それぞれ11人、13人と2団体である。クラブは年間10回程度だが、授業支援は1回から15回以上と回数が授業により異なる(添付資料「支援内容」表1)。平成21(2009)年度、同県多治見市立市之倉小学校では、277人の学校支援ボランティアが(添付資料「支援内容」表2)、同県郡上市明宝地域(明宝小学校、小川小学校、明宝中学校)では、多種多様な内容で行われている(添付資料「支援内容」表3)。どの事例に於いても、地域の特色を生かした授業や活動をするにあたり、その道の専門家が支援ボランティアをしていることが見て取れる。
 また、岐阜県内学校における学校支援ボランティアへの謝礼の現状は、添付資料「支援内容」表4のとおりである。
 
 


添付資料:支援内容(小項目1)

 
  (参考文献)
・ 佐藤晴雄編『学校支援ボランティア−特色づくりの秘けつと課題−』教育出版社、2005(平成16)年2月25日
・ 岐阜県教育委員会事務局社会教育文化課編『平成21年度学校支援地域本部実践事例集』岐阜県学校支援地域本部運営協議会、平成22(2010)年3月
・ 岐阜県教育委員会教育総務課編『第2次岐阜県教育ビジョン〜「清流の国」の明日をひらく人づくり〜』岐阜県教育委員会教育総務課、平成26(2014)年3月
・ 「岐阜県揖斐郡池田町立池田小学校」http://school.town.ikeda.gifu.jp/ikeda-es/
 
 
 
 
   



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