登録/更新年月日:2021年7月26日
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1.サービス・ラーニングモデルの構築 日本におけるサービス・ラーニング(社会貢献学習、以下、本文はSLとする)の普及を目指し、参加者がプログラム内容及び可視化された学習効果を基に選択可能なプロジェクトモデルを構築した。市民性の資質項目である人権意識の涵養に特化した3年間に及ぶプロジェクト実践の成果からモデルを提案し、後続の市民性の資質項目に関するモデル研究の先駆的役割を果たすことを目指した。 九州共立大学との包括的地域連携協定先である自治体から、青少年に関する人権意識の涵養について要請があった。そこでSLの構成要件(地域社会のニーズ、事前準備、活動、振り返り、祝福)を満たした活動として、自治体管轄下の小・中学校を対象にプロジェクトを実施した。本活動には、3年間継続参加した学生と各1年間参加した学生(計105名)、学習効果の検証のための人権テーマ以外のSL比較対象群(152名)の合計257名が参加した。 [人権意識の涵養に特化したサービス・ラーニングモデル(2018年〜2020年)] 2018年 人権意識調査(アンケート調査用紙作成を含む)、分析書報告書モデル 2019年 学習指導案 、関係資料 、人権啓発学習(授業実践)モデル 2020年 活動報告書、活動報告会モデル |
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(参考文献) 山田明『「市民性教育」研究〜人権意識の涵養に効果的なサービス・ラーニングモデル〜』鳥影社、2020年。 |
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2.参加学生における人権意識の涵養 人権意識の涵養に特化したSLモデルに関する学習効果を明らかにするため、SLに関する学習効果(比較対象SL群として人権以外をテーマにしたSL152名)、人権に特化した3年間プロジェクトにおけるモデルごとの学習効果を検証した。検証方法は、アンケート(事前事後、t検定、両側検定)、SL活動日誌を活用したルーブリック評価、インタビュー、参与観察等を実施した。 [アンケート(3年間及び各1年間のプロジェクトにおいて、活動前及びすべての活動終了後に実施)] 人権プロジェクト SLアンケート(市民性)、人権意識アンケート(6領域) 比較対象群 SLアンケート(市民性) [サービス・ラーニングに関する学習効果] 人権に特化したSL参加学生と比較対象群とした人権以外のSL参加学生の比較においては、双方に自尊感情・地域社会の意識はもとより、主体的社会参画の資質能力として自主性・協調性・課題発見力・批判的思考力・課題探求力など広範囲な学習成果が検証され、SLとしての市民性涵養の効果が確認できた。 [人権意識の涵養に特化したサービス・ラーニングに関する学習効果] 人権に特化したSLのプロジェクトについては、人権指標6領域(生命尊重・自己理解・協調協働・労働観・科学的認識・国際理解)を視点に作成したアンケート調査を実施した(人権意識を認識と行動意図の視点からみる)。以下のようなモデルごとの顕著な学習効果が確認された。 人権意識調査・分析書報告書モデル 生命尊重・国際理解(アンケート項目作成過程で意識) 学習指導案・人権啓発学習モデル 生命尊重・労働観(教師志望学生の教職意識) 人権意識調査・分析書報告書・学習指導案・人権啓発学習モデル 人権6領域のすべて(3年間継続参加) |
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(参考文献) 山田明『「市民性教育」研究〜人権意識の涵養に効果的なサービス・ラーニングモデル〜』鳥影社、2020年。 |
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3.サービス・ラーニングモデル集の構築に向けて 人権モデルをスタートに、市民性の資質項目に有効なSLモデルが検討され、モデル集が構築されることに期待したい。米国では1990年代の初頭には、101のモデル集が公開されていた。日本での普及(一般化)の鍵は、このモデル集の存在も大きく影響していくと思われる。SLのプログラムモデル集の構築において、例えば、世界的規模で取り組まれているSDGs(持続的な開発目標)17項目のテーマが参考になる。人権・平和・平等・公正・健康・福祉環境・エネルギー・気候・教育・国際・社会課題(貧困、飢饉、衛生、ジェンダー、まちづくり)などである。 |
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