生涯学習研究e事典
 
登録/更新年月日:2026年2月14日
 
 

社会教育主事の協働による力量形成(しゃかいきょういくしゅじのきょうどうによるりきりょうけいせい)

competency building through collaboration among social education officers
キーワード : 協働 、教育職スキル 、行政職スキル 、専門的基盤の重層性
山本 竜司(やまもと りゅうじ)
 
 
 
  1.社会教育主事の協働による力量形成
≪定義≫
 本研究における「社会教育主事の協働」とは、調査対象地域の派遣社会教育主事(教員籍)と市町村社会教育主事(行政籍)の協働(同じ職場で協力して働く)を指す。
≪説明・動向≫ 
 社会教育主事の力量形成は職務実践に負うところが大きい。本研究では、職務実践における社会教育主事同士の協働が力量形成にどのような影響を与えているかを明らかにするため、派遣社会教育主事(教員籍)を受け入れている市町村任用社会教育主事(行政籍)へのインタビュー調査から得られたデータを質的に分析した。本調査の結果、社会教育主事には任用背景の違いによって、教育職スキルと行政職スキルという二つの異なる専門的基盤(専門的基盤の重層性)が存在することが示唆された。任用背景の異なる社会教育主事同士の協働は、学習支援/ファシリテート力などの教育職スキルと、組織内外の調整・連携を図るコーディネート力などの行政職スキルに関する力量形成を互恵的に促進していると考えられる。
(参考:調査の概要)
 調査対象は、X県内の市町村社会教育主事である。X県は、現在でも派遣社会教育主事制度を維持し、社会教育に関する全県的な共通理念を掲げるなど、社会教育に関する取り組みが全国的に評価されている地域である。今回インタビューを行った対象(調査協力者)は、市町村任用の行政籍社会教育主事である。派遣社会教育主事を受け入れている市町村では、このように県教育委員会から派遣された教員籍派遣社会教育主事と、市町村任用の行政籍社会教育主事が協働して域内の社会教育を推進している。X県の「社会教育主事派遣要綱」においては、「市町村教育委員会の自らの任用に係る社会教育主事と派遣社会教育主事とが、互いにその専門性を生かし、相互の協力体制に基づいた活動が行われること」とされている。本研究では、特にこの「相互の協力体制」(協働)に着目した。詳細については山本(2025)を参照されたい。
 なお、筆者は教員籍派遣社会教育主事に対するインタビュー調査も別に行っている(2023年度日本生涯教育学会第44回大会研究発表)。
≪課題≫
 専門的教育職員として社会教育主事と並列される「指導主事」との比較検討。
 
  (参考文献)
・金藤ふゆ子「派遣社会教育主事は地域の持続的発展に有用な人材か―派遣社会教育主事の調査研究から―」(『社会教育』911巻、pp.18-25、2022)
・山本竜司「社会教育関係職員のコンピテンシーに関する成人教育学的検討」(『日本生涯教育学会論集』44、pp.13-22、2023)
・山本竜司「社会教育主事の協働による力量形成に関する質的検討―教育職スキルと行政職スキルの涵養―」(『日本生涯教育学会論集』46、pp.33-42、2025)
 
 
 
 
   



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