登録/更新年月日:2019年1月5日
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1.施設のコンセッション方式化の定義と説明・動向 【定義】 ここでは地方自治法第244条で規定されている「公の施設」、特に社会教育施設などの管理運営のコンセッション方式化を対象に論じる。コンセッション方式とは、利用料金の徴収を行う公共施設について、施設の所有権を公共主体が有したままで施設の運営権を民間事業者に設定する方式をいう。つまり、公的主体が、自らが所有する公共施設等についての「運営権」を設定し、民間に「運営権」を付与し、民間が得た事業収入を対価として受け取る仕組みを指す。 【説明・動向】 住民福祉増進のために設置されている「公の施設」の管理運営上の問題から、新しい方策としてコンセッション方式が提起されている。従前の公的施設の管理運営についてみると、設置当初は自治体直営方式であったが、やがて第三セクターによる管理委託方式が採用され、さらに指定管理者方式などが広がりつつある。こうした変遷の底流には自治体の財政難の問題があり、新しい管理運営組織や経営に移行していく必要があった。自治体の自主性の尊重、自治体事務の簡素化・効率化などが指摘され、NPM(New Public Management)の考え方を導入することによって行財政が改革されるとともに、民間への委託や協働化が行われたのであり、公共施設の役割が見直されてきたのである。 近年、こうした動向のなかで提案されている新しい管理運営の仕組みがコンセッション方式である。この方式は、官民協働(市民協働)の具体化とされるPFI・PPP手法モデルの1つであり、公費負担を抑制し、公共サービスを改善し、新しいビジネスを創出するという趣旨から、自治体が所有する公共施設等について、民間事業者による安定的で自由度の高い運営を可能とすることにより、利用者ニーズを反映した質の高いサービスを提供することをめざすものである。 コンセッション方式の導入は、財政改革という観点だけでなく、公共施設の老朽化問題への対応であり、インフラ整備に役立てるという意図がある。社会教育施設においても、近い将来には全国各地で耐用年数を迎える建物が増加することが予想されているが、現在の自治体の財政力では対応が困難であると考えられている。 コンセッション方式においては、施設に「運営権」という権利が設定される。自治体が建設した公共施設の運営権を民間事業者に付与し、民間事業者の方は公共施設を運営することによって料金収入などをあげ、対価を自治体に支払うことになる。施設の建設・補修に要する費用が対価よりも下回れば自治体に都合が良く、仮に上回った場合でも、不足する費用を民間事業者に分担させることができる。また、民間事業者には施設に抵当権を設定して資金調達ができる方途が用意されており、さらに施設運営権が譲渡できるというリスク負担の軽減措置もある。 自治体及び民間事業者双方にメリットがあることから、社会教育施設にもコンセッション方式などのPFI・PPPモデルを導入すべき時代を迎えているが、社会教育活動の推進のために設置された施設については、「物」だけでなく、職員などの「人」、情報やプログラム、事業等の「機能」などの要素の点で条件整備が求められることが重要である。コンセッション方式については、すでに国立女性教育会館が地元の民間事業者と2015年からの10年間の契約で導入しており、運営開始は豊岡市の但馬空港についで全国で2事例目になる。今後、全国の社会教育施設に波及する管理運営のスタイルだと考える。 |
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(参考文献) ・「PPP/PFI 推進アクションプラン(平成29年度版)について」内閣府、2017年 |
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