登録/更新年月日:2018(平成30)年2月21日 |
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【子育て商品の開発と子育て活動による消費・活用】 「子育て商品企画」のための参画型学習は、子育てをする親あるいは「未来の親」としての学生という「子育ての源流(ニーズ)」としての「個人」と、子育てまちづくり活動への参画の「連鎖」の両軸から位置づけて進める必要がある。図は、「子育て小売店研究」における「子育ての源流から市場へ、市場から源流へ」という「子育て商品企画」のサイクルを表している。本図では、子育て活動・子育て学習からの発想・提案によって、源流が「子育て商品開発」というかたちで市場に至り、子育て活動の中で消費・活用され、当然ながらその使用感、その良さ、その特徴によって引き出される新たなニーズが源流となる。これによって、その発想・提案が商品開発に還元される。 本研究の特徴は、「産業振興を意識した子育てコラボレーション」という点にある。これによるまちづくり効果として、次の3点が挙げられる。@源流重視の参画活動によるまちづくり、A親発想・親消費の産業振興、B社会経済と交流する子育て活動。 「生涯学習のまちづくり」における産業振興は、このように、源流と市場とのサイクルの中で行われる。このサイクルの中で、親や未来の親が個人として充実し、個性ある子育てをするために必要な能力を身につける「個人化」と、社会形成者の一員として必要な能力を身につける「社会化」とが、一体的なプロセスとして促進される。 【ユーザーニーズの把握に基づく子育て商品企画の開発的指導法】 大学授業で、「市場で成立する」という条件のもと、6人程度のチームに分け、子育て商品の企画を行わせた。そのプロセスは以下の通りである。@開発企画(企画→仮説設定)、A調査設計(改善→設問・調査)、B分析発表(分析→企画発表)。ここでは、受講仲間(94人)を調査対象として、学生が「未来の母親」として、「自分が母親になったらどう考えるか」を想像して回答するいわば「自己調査」に依って、ユーザーニーズを把握させた。そのことによって、商品企画シミュレーション学習における効果的な開発的指導法を明らかにしようとした。 本研究では、各回の気づきを学生に短文で記述させ、その結果を次の2通りの記述分析の評価基準を設けて分類した。@記述の視点(需要側か、供給側か)、A記述の内容(能動的肯定、肯定、否定、能動的否定)。@については、母親の実態やニーズに関する記述を「需要視点」とし、商品提供や社会の視点からの記述を「供給視点」とした。Aで特徴的なのは「能動的否定」というとらえ方である。これは、戦略計画手法SWOT(アルバート・ハンフリー、1965)における「機会」(Opportunities:目標達成に貢献する外部の特質)の考え方に着目し、学生が商品企画体験において見出した需要や供給における問題点を、商品開発の「機会」としてとらえ直す記述をした場合、これを「能動的否定」として分類したものである。 また、需要視点では「能動否定」が増え、供給視点では単純な「能動肯定」が減少するという学生の深化の過程を読み取ることができた。「根拠のない楽天的有能感」が劇的な落ち方を見せ、ユーザーニーズを深掘りしてとらえるようになることは、シミュレーション学習における開発的指導法のポイントを表すものといえる。 br> 添付資料:子育ての源流から市場へ、市場から源流へ図解 |
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参考文献 ・西村美東士自著公開ページ http://mito3.jp/seika ・西村美東士「松戸の親子・子育て産業振興に関する研究」、私立大学学術研究高度化推進事業社会連携研究推進事業『連鎖的参画による子育てのまちづくりに関する開発的研究平成17〜21年度研究集録』、聖徳大学、2010年3月 ・西村美東士「ユーザーニーズの把握に基づく子育て商品開発の授業実践−シミュレーション型授業の実践を中心として」、聖徳大学生涯学習研究所紀要『生涯学習研究』8号、pp.29-33、2010年3月 |
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