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登録/更新年月日:2025年2月15日
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1.定義 「全国社会教育主事の会」は、平成29(2017)年度に、文部科学省国立教育政策研究所社会教育実践研究センター(以下、社会教育実践研究センター)を事務局として発足した組織である。その設置要綱には、次のような趣旨と活動内容が謳われている。 ○趣旨 急激な社会の変化を背景として、社会教育行政の中で社会教育主事には、地域課題の顕在化とその解決に向けた学習活動の企画・立案など、学びのオーガナイザーとして役割が求められている。このため、全国の社会教育主事が広域的な情報交流や時代に即応した専門性を高め、地域を越えた絆を深めながら、多様化・高度化する社会教育行政の遂行にあたって必要な知識や意識の向上を図り、社会教育主事の全国的なネットワークの形成や社会教育の一層の推進を目的に全国社会教育主事の会を設置する。 ○活動内容 全国的なネットワークを活用し、以下の活動を行う。 (1)会員間の情報や意見の交換 (2)社会教育関係者による広域的な研究交流事業等の実施・参加 (3)調査研究事業への協力・連携 (4)社会教育主事としての支援活動 (5)その他、本会の目的を達成するために必要な活動 同要綱によれば、本会の構成会員は、都道府県教育委員会の社会教育主事等1名、指定都市教育委員会の社会教育主事等1名、社会教育実践研究センター職員となっており、事務局を社会教育実践研究センターに置くことも定められている。 本会の大きな特徴は、自治体同士の横のつながりづくりを意識した構成となっている点にある。年度初めに作成するメーリングリストを用いて、自治体間の相互の情報共有等を可能にしている。会員制を取っているため、多様な社会教育人材に開かれたネットワークという位置付けではないが、この会で学んだ成果を、参加者がそれぞれの地域に持ち帰り、情報提供や協議の機会を設けることで、各地域単位でのネットワークづくりの契機とすることが想定されている。また、この会で構築されたネットワークを基に、全国の自治体同士での自主的な情報交換・情報発信等に発展することも期待されている。 社会教育実践研究センターでは、これまでこの全国的なネットワークを活用した広域的な研究交流事業を実施するため、年に1回、集合形式による研究交流会を実施してきた。しかし、新型コロナウイルス感染症の影響により、令和2(2020)年度は書面開催による情報共有のみとなり、令和3(2021)年度はオンラインでの開催となるなど実施形態を変更せざるを得なかった。 そのような中で、講演・講義の配信や行政説明等、単一方向に情報を流すタイプの事業ではなく、交流やネットワークづくりという本会の本来の目的を達成するためには、双方向にコミュニケートできる場を創出するとともに、全国からの参加者が少しでも参加しやすい環境を整える必要があった。 そこで令和4(2022)年度は、ICTを活用してハイフレックス型(会員が、集合かオンラインかの参加方法を選択でき、どちらの方法であっても同時に双方向性のあるコミュニケーションを確保する運営方式)で実施した。 |
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(参考文献) ・国立教育政策研究所社会教育実践研究センター「全国社会教育主事の会設置要綱」平成29(2017)年6月。 |
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2.説明・動向 令和4(2022)年度に実施した研究交流会の主な内容・体制は、以下のとおりである。 (1)実施日程をこれまでの1日開催から2日間開催とし、他の講習等と連続させるなどの日程ではない「独立日程」で実施することで交流の時間を確保した。 (2)参加方法は集合形式を原則とするが、同時にWeb会議システムを使用し、オンライン形式での参加も選択できる形式で実施した。(いわゆるハイフレックス型) (3)集合参加者同士、オンライン参加者同士、そして集合参加者とオンライン参加者でのグループ交流も行えるように交流の在り方を工夫した。 (4)平成29(2017)年度に実施して以来、プログラムとしては実施できていなかった「講演」を取り入れ、その中でも演習や交流を実施するなど内容面の充実を図った。 (5)事後アンケートの他、出席者・欠席者別に追加アンケートを実施し、ネットワーク構築の有効性について分析を試みた。 特に、(3)については、本研究交流会の主たる目的である交流の時間を十分に確保し、各自治体における社会教育の進展・取組状況等について情報交換を行うとともに、今後の社会教育主事の役割等についての知見を得る機会とするため、社会教育が喫緊の課題として取り組むべきとされている次の4つのテーマについて交流を行った。 ア:「命を守る」社会教育・社会的包摂とは イ:コミュニティ・スクールと地域学校協働活動の一体的推進 ウ:アフターコロナ社会における事業・研修の在り方とデジタル社会への対応 エ:社会教育士の登場と社会教育主事の今後 交流では、参加者全員が全テーマに参加できるよう、時間を区切ってローテーションする形式とした他、会場設営とオンライン上の設定も工夫した。まず、ア〜エのテーマ別に社会教育実践研究センター内のセミナー室等を4会場に割り振り、集合参加者はそれぞれの会場を移動する形式で交流に臨んだ。また、4会場の全てにパソコンとプロジェクター等の機材、そしてWeb会議システムの環境を整え、ブレイクアウトルームをその会場で話し合われるテーマに基づいて設定し、集合参加者とオンライン参加者の交流ができるようにした。これにより、集合参加者からオンライン参加者に呼びかけたり、逆にオンライン参加者から集合参加者に質問をしたりする同時双方向性のあるコミュニケーションや相互交流を可能にした。 本会の事務局を担っている社会教育実践研究センターでは、過去に「講義」を集合参加者とオンライン参加者に同時に配信したり、離れた場所に集合した方々同士をオンラインでつないだりする運営についての実績はあった。しかし、集合参加者とオンライン参加者が、同時かつ相互にコミュニケーションを行う「交流」の場面に重点をおいて、即時的に対話ができる双方向性を担保しつつ、ハイフレックス型による事業を運営した例は無かった。そういった意味で、この運営手法は、挑戦的な手法であったと言うことができる。 |
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(参考文献) ・国立教育政策研究所社会教育実践研究センター「社会教育主事講習の充実に資する学習コンテンツ等の開発に関する調査研究報告書」令和5(2023)年3月。 |
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3.成果と課題 本研究交流会へは全国の自治体から43名の参加が得られた。これは、参加対象である自治体会員数67名(47都道府県及び20指定都市)からすると、64.2%の参加率であった。参加者数43名のうち、集合参加者は10名(23.3%)、オンライン参加者は33名(76.7%)となった。 参加者に回答を求めた事後アンケート(回収率100%)を、集合参加者とオンライン参加者の両群に分けて分析を行ったところ、大きな差は見られなかったが、「プログラムの適切さ」「運営面の適切さ」「交流の方法」などの面では、オンライン参加者の満足度が一部低い傾向が認められた。これについては、アンケートの自由記述等から分析すると、Web会議システムのブレイクアウトルームにおける移動回数の煩雑さなどが要因となっているものと考えられる。対面であれば、会場を行き来する移動も、近くの参加者や同じグループになった参加者と何気なく会話できる「コミュニケーションの時間」になり得るが、オンラインでは、ブレイクアウトルームの移動等に伴う単純な「操作・作業の時間」になってしまう。今回は、参加者のローテーション先を予め決めてしまったことにより、自身の意思が反映される余地なく「操作・作業」の時間が増えたことで満足度が下がったものと考えられる。この点については、オンライン参加者が参加したいと考えるルームに自由に参加できるような交流の方が望ましいだろうが、1ルーム当たりの参加人数を調整したり把握したりする必要がある場合に、運営面での課題が残る。 また、「対面・オンライン形式を同時併用した開催方法(ハイフレックス型)」については、集合参加者の満足度が低い傾向がうかがえた。今回は、2年ぶりに集合形式を復活させた研究交流会であったため、対面でのコミュニケーションを求めて集合形式の参加を選択する方が多いのではないかと予想していたが、前年度が全面オンラインでの開催であったことから各自治体で旅費の予算化等がなされておらず、集合参加者はオンライン参加者の3分の1程度に留まった。そして、その多くが社会教育実践研究センターのある関東近県からの参加者であった。ハイフレックス型で事業を実施する場合、集合参加者とオンライン参加者の比率に極端な差があると満足度に差が出てしまうことが分かった。それを解消するための学習プログラム開発が今後の課題である。 追加で、出席者・欠席者別に「ハイフレックス型での開催に関するアンケート」を実施したところ、出席者43名(自治体)からは26名の回答があり、欠席者24名(自治体)からは17名の回答が得られた。これらの分析からは、今回欠席せざるを得なかった会員の中にも「対面で参加したい」という思いを強く抱いていた者が多い傾向が読み取れた。また、出席・欠席を問わず、今後の本研究交流会については、ハイフレックス型での開催を期待していることが読み取れた。 ネットワーク構築の有効性については、本研究交流会後にネットワーク(メーリングリスト)を活用して情報発信をしたいという参加者が現れるなど、一定程度「つながり」を意識化させることに成果があったと考えられるが、その継続性や活用の度合いについては別途検証の余地がある。また、今後もハイフレックス型の開催を希望する声は多いものの、参加のしやすさや手軽さという観点のみでそのような希望が出されている傾向がないかも精査しなければならない。 本来期待されているネットワークの重要性と在り方に鑑みて、社会教育実践研究センターでは、より望ましい実施方法や運営手法の模索を継続する必要があると考えている。 |
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