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登録/更新年月日:2025年2月12日
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1.生活困窮世帯の子ども向け学習支援活動の現状と課題 【定義】 生活困窮世帯等への学習支援は、「生活保護世帯の子供を含む生活困窮世帯の子供を対象に、生活困窮者自立支援法に基づき、子どもの学習・生活支援事業を実施し、学習支援や進路選択に関する相談等の支援を行う」とともに、「ひとり親家庭の子供の学習習慣の定着等に向けて、放課後児童クラブ等の終了後に生活習慣の習得・学習支援、食事の提供等を行うことが可能な居場所づくりを推進する」と位置付けられている(内閣府 2019)。 【説明・動向】 生活困窮世帯の子どもを対象とした学習支援活動は、1980年代後半より地域のケースワーカー等により自主的に実施されてきた活動であった。初期の活動は、高校受験のための学力を身につける等、学習の支援に主眼が置かれていたが、2008年のリーマンショックを契機に子どもの貧困が全国的な社会問題になると、学習のみならず居場所としての目的が加わるようになった。その後、厚生労働省の審議会等での議論を経て、当該活動は2013年に制定された生活困窮者自立支援法に根拠を有する厚生労働省の事業となった。2018年の同法改正により、これまで任意事業に位置付けられていた学習支援事業について、生活習慣・育成環境に関する助言等も追加した子どもの学習・生活支援事業として強化された。 2021年度に当該事業を実施している自治体の割合は、64%となっている。事業の委託先はNPO法人(38.2%)が最も多く、次いで株式会社等(23.8%)、社会福祉協議会(21.5%)、社団法人・財団法人(18.5%)である。 【課題】 事業実施の課題は、「対象となり得る子どもは一定数いるものの、利用につなげることが難しい」が40.1%、「活動場所への子どもの移動手段の確保が難しい」が28.0%、「子どもや保護者と直接接する事業の担い手(支援員)の確保が難しい」が23.5%と続き、課題に対応するために考えられる方策として、「送迎手段の確保」が25.4%、「学生ボランティア等の確保」が20.1%、「委託先の開拓」が18.1%と続く。当該事業の展開にあたっては、送迎支援や支援者確保、委託先開拓等、支援者の役割を担う人材に関わる課題に着目し、地域コミュニティにおいてサステナブルな仕組みをいかに構築するかが重要といえる。 澁谷・石原(2024)の研究より、支援者の役割を担う人材の多様性の創出を前提として、支援者の属性に応じ、個別の関心や経験を考慮する等の戦略的な取り組みを展開することの必要性、また、単独の団体では対応困難な課題に対して連携した取り組みにより解決を目指す中間集団としての協議会の設置等を通じた協議体制を整備することの必要性等が明らかになっている。 【事例】 X県で学習支援事業を展開する団体は、生活困窮世帯の小学生から高校生を対象とし、週2回、公共施設等を教室に、主に平日夜間に約2時間の学習支援活動を実施する。教職経験等を有するスタッフに加え、大学生や社会人等のボランティアが対象の子どもに対し、1対1を基本とする学習支援を行う。地域によっては送迎支援や、教室に足を運べない子どもに対する家庭訪問等を行う。 全国の学習支援の事例に関する調査研究として、日本能率協会総合研究所(2020)等がある。 |
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(参考文献) ・澁谷知範, 石原朗子「地域コミュニティにおける生活困窮世帯の子ども向け学習支援活動に関する考察」『日本生涯教育学会年報』, 第45号, 2024年 ・生活困窮者自立支援のあり方等に関する論点整理のための検討会『貧困の連鎖防止(子どもの学習・生活支援事業等)について』, 2022年 ・日本能率協会総合研究所『子どもの学習・生活支援事業における生活習慣・環境改善に関する支援の先進事例に関する調査研究事業報告書』, 2020年 ・厚生労働省社会・援護局地域福祉課生活困窮者自立支援室『生活困窮者自立支援法等に基づく各事業の令和2年度事業実績調査 集計結果』, 2020年 ・内閣府『子供の貧困対策に関する大綱―日本の将来を担う子供たちを誰一人取り残すことがない社会に向けて―』, 2019年 ・北海道総合研究調査会『新型コロナウイルス感染症等の影響を踏まえた生活困窮者支援のあり方に関する調査研究事業報告書』, 2022年 |
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