登録/更新年月日:2023年1月24日
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1.大学生に対する生涯学習のオンライン授業を行った背景 愛知県のビジネス系の私立大学において、全学共通の専門科目として生涯学習論が開講されている。学生が生涯学習論を履修した理由は、卒業するために単位が必要である、集中講義なので単位が簡単に取れそうというものが多く、生涯学習を含む教育学に興味を持っていることはほとんどない。しかし、そのような学生にこそ、生涯学習の大切さやおもしろさを伝えたいし、生涯学習について知ってもらう人生で最後の機会であると思っている。 そこで、2019年度には、生涯学習について網羅的に講義する代わりに、学生が地域に愛着を持ち、将来、地域を担うリーダーになることを期待して、身近な地域を知るためのフィールドワークを行った。一方、2020年度と2021年度は、新型コロナウイルス感染症の蔓延によって、対面講義やフィールドワークができなくなり、オンライン授業を行わざるを得なくなった。そこで、学生に個人でフィールドワークを行わせ、オンラインでプレゼンテーションを行わせるようにした。ここでは、2020年度の活動の概要を紹介し、学生による授業評価を示す。 |
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(参考文献) ・植木岳雪「生涯学習の種としての地形・地質:文系の大学生を対象とした身近な地域を知るためのフィールドワークを通して 」日本生涯教育学会論集、42号、pp. 65-74、2021年。 ・植木岳雪「大学生による地域の魅力の再発見:生涯学習のオンライン授業を通して」日本生涯教育学会論集、43号、pp. 85-93、2022年。 |
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2.オンライン授業の流れ (1)1日目:講義 オリエンテーションとして、公民館や博物館で行われている生涯学習講座を紹介したのち、アニメーションや外国のポップスが生涯学習の種になることを伝えた。次に、生涯学習の定義、歴史、内容、分類、方法、意義、学校教育や家庭教育との関係など、基礎的知識について講義した。そして、前年度に2日間行ったフィールドワークを紹介した。 (2)2日目:プレゼンテーションとPCの演習 学生には、あらかじめ自分の住んでいる市町村の自慢を紹介したチラシを作成させた。そのチラシを画面共有して、各学生に1分間で発表させた。次に、フリーのラスターソフトGIMPとベクターソフトINKSCAPEをインストールさせ、使い方を教えた。また、地理情報の取得と利用方法を教えた。 (3)3日目:フィールドワークとPCの演習 各学生に、自分の家の周辺を散策させ、身近な地域の「お宝」を発見させるフィールドワークを行った。そして、フィールドワークのメモをもとに、2つのソフトを使って、1枚のチラシを作成させた。 (4)4日目:プレゼンテーションと実技試験 身近な地域の「お宝」を解説したチラシを画面共有して、各学生に1分間で発表させた。最後に、実技試験として、授業全体についての感想を手書きのイラストと文章で表現させた。 |
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3.授業評価 82名の学生のうち、48名から大学指定の授業評価アンケートが提出された。それによると、いずれの項目でも、他の集中講義よりも大幅に平均点が高かった。この授業を履修した大学生の満足度は高く、地域の理解促進や愛着醸成が進んだことがうかがえた。また、学生はオンライン授業にもかかわらず、この授業にさまざまなアクティブラーニングを取り入れたことを肯定的に評価した。対面での講義やフィールドワークができなくても、オンラインでの演習や学生個人によるフィールドワークを通して、一般の学生に生涯学習の大切さやおもしろさを効果的に伝えることができることがわかった。 |
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