登録/更新年月日:2009(平成21)年9月15日 |
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「家庭教育支援をめぐる動き」で記述したように、現在、社会全体で家庭教育を支援することが急務となっている。 平成20(2008)年2月の中央教育審議会答申「新しい時代を切り拓く生涯学習の振興方策について」では、社会全体の教育力の向上−学校・家庭・地域が連携するための仕組作り−の具体的な方策として、身近な地域における家庭教育支援の基盤形成等をあげ、地域コミュニティや企業を含め、社会全体で家庭教育を支援していくためのよりよい環境を醸成していくことなどが示された。 家庭教育支援に関する地域の人々の意識については、国立教育政策研究所社会教育実践研究センターが平成19(2007)年度に行った「家庭教育支援に係る地域の活性化に関する調査研究」で、20歳代以上の男女に対する家庭・地域の教育力に関する意識調査をおこなっている。この調査の中で79%の人が家庭教育の充実のために地域が積極的に関わるべきだと回答しており、多くの人々が家庭教育支援に地域が積極的に関わる必要性を感じていることが分かる。また、地域の教育力を活かした家庭教育支援の今後の取組について、現在活動に参加している人の86%が、今後も活動に参加すると回答している。そして、現在活動に参加していない人の54%が、今後、家庭教育支援の活動に参加してみようと回答している。このように、今日では、家庭教育支援の活動に積極的に参加しようとする意識は高まってきており、各地で特色のある取組も進められている。 特色のある取組については、同調査研究で先進的な取組の聞き取り調査を行っている。その中で紹介されている高知県日高村の取組は、「日高村子どもの未来応援団」が「子ども支援ボランティア活動事業」により、子どもや子育て中の保護者を支援するとともに、支援者自ら自己表現(生き甲斐づくり)を図ることによって、元気な人や地域をつくり、地域の活性化を目指している。具体的には、読み聞かせの活動、子育て講演会、ふるさとウォーキングなど参加対象者によって活動内容を精査し、子育て中の親だけでなく、子ども、祖父母、地域の住民等、幅広い年代の方々が参加できる取組となっている。日高村の取組のように多世代が交流しながら家庭教育支援という課題に取り組む場は、まちづくりにつながる学習成果活用の場として活かすことができ、地域の教育力の向上にもつながる。 社会全体で家庭教育支援を進めるためには、地域の教育力を再生することが大きな課題となるが、かつてあったような地域の教育力を再生することは難しい地域が多い。これからは、放課後子ども教室事業や家庭教育支援基盤形成事業等を活用しながら、地域社会の機能の活性化を図り、新たな地域の教育力を創造し、社会全体で家庭教育を支援することが必要である。また,近年では、子育て支援のボランティア活動者が増え、NPO団体の活動も活発になっていることから、従来型の地縁的なつながりによるネットワークだけでなく、新たなネットワークを効果的に活用し、地域の教育力の向上につなげていくことも大切である。 br> |
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参考文献 ・国立教育政策研究所社会教育実践研究センター平成19年度家庭教育支援に係る地域の活性化に関する調査研究 |
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