登録/更新年月日:2006(平成18)年1月27日 |
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【説明】 社会教育行政は、法によって形成された公共の意思や目的に基づいて、国民の社会教育活動(学習・スポーツ・文化・創作・地域実践活動等)が有効に実践できるように環境条件の整備や必要な支援を行い、その奨励に努める能動的な社会形成作用である。 行政は恣意や専断を排除して公平性や安定性を確保するために、法治主義を採択している。法は憲法を頂点に、法律(例・社会教育法)や命令(政令や省令=法令とは法律と命令)、自治立法による条例(例・図書館設置条例)や規則(例・教育委員会規則)等がある。法の下で行政を執行する仕組みが行政組織で、文部科学省、教育委員会、あるいは社会教育課、成人教育係とか、公民館、博物館などがそれである。 社会教育行政が対象とする社会教育は、学校の教育活動を除いた、主として青少年や成人を対象とする組織的な教育活動(体育及びレクリエーションの活動を含む)である(社会教育法2条)。また、国や地方公共団体は社会教育を奨励するため、適切かつ有効な方法を用いて、すべての国民が、あらゆる機会、あらゆる場所を利用して自ら実際生活に即する文化的教養を高め得る環境の醸成に努めるように求められている(同法3条)。 社会教育法の規定からも読み取れるように、社会教育は自発的で自主的、自由だから多様、方法は実践と体験が主軸、内容は生活(含・職業生活)や地域と連結、という特徴を持つ。だから、社会教育行政は規制行政(権力行政)ではなく、奨励行政で、行政に期待されるのは、1)社会教育活動の環境条件整備(社会教育施設の整備、情報提供、団体活動や民間社会教育事業の支援、指導者の研修援助、学習機会の充実等)、2)地域の教育力の活性化やまちづくり、地域振興、3)内容としては社会性(公の心)の啓培その他公共的課題の解決を優先することである。なお、社会教育は教育委員会や公民館などの行政が提供するものだとの根強い誤解があるが、社会教育と社会教育行政とは別のものである。 社会教育は民主導が基本である。だから法的にも、社会教育委員、公民館審議会、図書館協議会、博物館協議会という住民の意向を行政に反映させる仕組みを持ち、他方、行政は社会教育を行う者や社会教育関係団体に対して命令や監督したり、不当に統制的支配を及ぼすとか干渉を加えてはならないとしている。なお、環境条件整備の一環として行政が開設する講座やIT活用学習などは、研究開発、公共的見地による必要課題(社会の教育要請による学習課題)への対処、民間では開催困難な事業の補完が主目的である。 最近の行政には、中央から地方へ、官から民への動きがある。ただし、社会教育には生活や地域と連結する特徴があるので社会教育行政の一次的な役割は市町村にあるとされているから、規制緩和等を伴う地方分権は自然の流れである。一方、環境条件の整備で公立社会教育施設の管理・運営にPFIや指定管理者制度等を用いて民間活力を導入するときは、行政は社会教育に関する専門的・技術的な指導・助言の能力や、競争原理や経済的行為が生む歪みを機会均等の観点で是正する整序機能を強化することが課題になる。 なお、社会教育は、 1)地域の活性化 2)学習縁による連帯強化 3)知的土壌の高品質化による経済力や文化力の向上 4)社会参画の積極化 をもたらすだけに、行政の役割は重い。 br> |
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参考文献 ・伊藤俊夫編『生涯学習の支援』実務教育出版、平成14(2002〉年 ・生涯学習等行政研究会編『生涯学習・社会教育行政必携』第一法規、平成15(2003)年 ・伊藤俊夫編『生涯学習・社会教育実践用語解説』全日本社会教育連合会、平成14(2002)年 |
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