登録/更新年月日:2006(平成18)年1月27日 |
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【子どもの文化活動の意義】 地域における子どもの文化活動は、子ども時代の芸術的、知的経験が学習達成感の獲得と生涯にわたる学習意欲の持続に寄与する点において、生涯学習に大きな関わりをもつということができる。 【目的】 子ども時代の文化活動は、学習における達成感と充実感等の獲得を図ることを目的とするものである。例えば、文化活動を通して「なぜ生きることは困難か」を気付かせ、努力することにより質の向上を目指すことを促す教育を提供することが大事なことになろう。 【説明】 子ども時代に体験した生活風習や習慣などは全て子ども文化といえるが、ここで取り上げるのは芸術に関わる文化活動である。子ども自身が逃れることのできない生い立ちという環境が文化活動を拒む場合もあるが、より高い生活環境を提供することは重要な社会の役割でもある。 音楽に関わる子ども文化活動を通して生涯学習を行なっている例をあげることにする。 ウィーン少年合唱団と北海道・北広島少年少女合唱団22名(設立20年目)との合同合宿・交流演奏会が2002年にオーストリア現地で行なわれた。ウィーン少年合唱団は508年前に創設され、学問、芸術、宗教、教育、文化全般に関わり現在に至る。交流したシューベルト・コアは6カ国・6歳から16歳までの児童25名が、合唱を行なうための学校での寄宿舎生活を送っていた。25名編成のグループが他に3つあり、それぞれが演奏活動と学習とを関係づけた学校カリュキュラムを有している。ここでは、一般の学習と音楽の学習を行いながら、歌により収入を得て生活するという目標達成のプロセスがある。歌うことは生きることであり、人間性向上のための作業であると考えられている。なお、北広島少年少女合唱団とは、義務教育機関に通いながら、音楽を通して子ども文化の継承と課外教育を行う機関である。 双方とも2つの体験学習をする。1つは歌詞の理解や復唱により、世界観、人間性、協調性、真実、誠実、希望と夢などの精神文化を学習する。2つ目は歌うことの肉体的鍛錬にある。肺活動、心臓活動は丈夫な体をつくる。連想発声、創作発声、行動発声などは心身を開放することにより,良い響きを持つことができる。ウィーン少年合唱団でもこれらのことを学び、人間形成に大きな成果を上げている。 人間らしく生きるためには、がまんすることや根気強く取り組むことを体験しなければならない。子どもの特徴である奔放さを歌うことで抑制する訓練は、子どもにとって困難なものである。しかし、その響きを得た時、人間としての価値観の獲得に繋がることを悟るのである。 【今後の課題】 子どもは文化活動を自発的に行う場合とまわりの大人から押されて行う場合がある。子どもは自分の適性や優れている能力を自覚できないことが多いので、適切な指導者・支援者が必要となる。地域の公共教育機関の充実、家庭教育の充実、社会教育機関の充実などの三位一体となった緊密な連携・協力体制の確立が必要である。そのことが確かな子ども文化を形成する原点と言えよう。 br> |
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参考文献 |
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