登録/更新年月日:2017(平成29)年1月8日 |
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【定義】 「アクティブ・ラーニング」とは、「教員による一方的な講義形式と異なり、学修者の能動的な参加を取り入れた教授・学習法の総称。学修者が能動的に学修することで認知的、倫理的、社会的能力、教養、知識、経験を含めた汎用的能力の育成を図る。問題解決学習、体験学習、調査学習等が含まれ、グループ・ディスカッションやグループ・ワーク等も有効なアクティブ・ラーニングの方法」と、文部科学省は定義している。 「循環型教育」とは、「あらゆる時期・機会もしくはあらゆる人々の間で、[教育を受ける人]と[教育を授ける人]の双方が学び合い、その学びが互いに循環すること」と定義する。即ち「人は学習内容(知識と知恵)を他人に教える過程で、学習内容をより深化させ、客観化し、他人が理解できるように整理して伝える。教育を受ける側は、教授者と異なる受け取り方をすることにより新たな[気づき]を見いだす。この[教育を受ける人]と[教育を授ける人]との相互教育では、より高度な内容を共有することが可能」である(2014、宮崎)。 【説明】 アクティブ・ラーニングとしての循環型教育の事例を次に挙げる。 1)学校教育では上級生から下級生への授業補助や部活動、全学年の縦組織による集団登下校や清掃活動、教員と児童生徒間の学び合い等が挙げられる。 2)家庭教育では一家団らんをしながら親子間の会話や学びが深まると、親が子どもを客観的にみることができるようになり、子ども側も家庭学習への意欲が向上する効果がみられる。 3)地域社会では、大人をロールモデルにして子どもたちが社会規範やマナーを習得する機会が増える。異業種異年齢の交流や直接対話が促進されると地域で教育・文化の継承ができるし、学校教育への支援(コミュニティスクール)も地域の教育力を強固にする効果がある。同時に、大人も子どもや若者の斬新な発想に刺激されて学ぶことも多く、循環型教育の成果が期待される。 大学と地域社会との連携では、三重大学の学生が自主的・能動的に主導したキャリア教育の事例が挙げられる。アクティブ・ラーニングの一環として実施した「熟議」では、立場の異なる当事者が世代を超えて協働して提言を作り上げて「循環型教育」としての成果がみられた。つまり、一方的な講義ではなく、学生が主導したアクティブ・ラーニングとして学校・家庭・地域社会が連携したからこそ「循環型教育」の効果が大きかった。 それらの成果は新しい価値や資産を生み出す力になって、地域をイノベーションしていく核となる。さらに、他地域に影響を及ぼし波及していくと世界平和・福祉を考える国際社会に通用する人材育成に繋がり、グローバルイノベーションを行うことができる。 【課題】 今後の課題は、学校・家庭・地域社会の連携における異業種異年齢による直接対話の機会を増やし、企業等の知恵や技術を学校や地域社会に注ぎ込むシステム(CSR)をさらに推進することである。その拠点となる大学は「元気な地域づくり」の担い手の育成にリーダーシップを発揮する必要がある。さらに重要な点は、「生涯キャリア教育」の成果は確かな学力と豊かな人格形成、進路決定に関わるばかりでなく、すべての人の一生涯のキャリア形成・能力開発に繋がるということである。その実現のために、「生涯キャリア教育奨励法」が一刻も早く制定され、機能することが重要である。 br> |
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参考文献 ・宮崎冴子『循環型教育-家庭・学校・地域社会にイノベーションを-』(株)文化書房博文社(2015) |
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