生涯学習研究e事典
 
登録/更新年月日:2006(平成18)年11月13日
 
 

社会教育施設の情報化 (しゃかいきょういくしせつのじょうほうか)

キーワード : 教育情報ネットワーク、デジタル・アーカイブス、ストック情報、学びの共同体、ポータルサイト
久世均(くぜひとし)
1.社会教育施設の情報化
   
 
 
 
  【生涯学習の情報化の方向】
 生涯学習の情報化の方向を整理すると、今後の生涯学習情報のキーワードは、「情報の総合化」と「フロー情報からストック情報への重心の転換」である。
 今、正に様々な、生涯学習施設が連携し、総合的な情報を提供することが求められている。そこで、ここでは「情報の総合化」について、「共通索引検索システム」を構築することで実現した「検索の総合化」と、学習者と講師とをインターネットを介して結ぶことで成立する学習であるWBT(Web-based Training)やいつでも学習ができるオンデマンド学習などの「方法の総合化」、そして、デジタル・アーカイブスとポートフォリオ(学習物を集めたもの)などの「内容の総合化」に分けて整理し、「ストック情報」については、「地域資料のデジタル・アーカイブス」を提案しておきたい。
 これらの内容は、情報化の進展によって、検索の方法や、デジタル化の方法は異なるが、「情報の総合化」と「デジタル・アーカイブス」は今後も生涯学習における情報化で重要な視点である。
【生涯学習に関する教育情報ネットワーク】
 デジタル・ミュージアム構想や市町村のホームページについても、これらの視点で構築することが重要であり、特に、市町村のホームページは、生涯学習・学校教育で活用できるホームページを構築することが必要とされる。
 また、従来の教育情報ネットワーク、生涯学習情報提供システムは、いわば一方向の知識や資料などの伝達を中心に考えられてきた。しかし、今後の生涯学習に関する教育情報ネットワークは、「学び」の情報ネットワークとして、「学びの共同体(learning community)」をどのようにネットワークに構成するかという点を中心に考えていく必要がある。
 つまり、「学び」の情報ネットワークは、自立協働的ネットワークであり、人々が超組織的に結びつく自立的かつ協働体的な学習の場をつくろうという考え方である。従来の専門的知識伝達型ネットワークでは、指導者と学習者の知識の格差を前提とした、一方向的なコミュニケーションが特徴であったが、「学び」の情報ネットワークでは、学習者と指導者が相互的なコミュニケーションとなる。したがって、学生から高齢者に至るまで自然と情報技術を使って学習できるような環境を創り出していく必要がある。
【社会教育施設と情報】
 そのためには、社会教育施設を支援する体制の整備や地域と学校の連携などと共に、指導者間での情報の交換、共有、更新、創造がなされる社会教育施設を作っていくことが基本的条件となる。
 一方、各地域の人々が、自分の住む地元の情報について知り、そこから新しい学習を求めていく姿は、小学生から高齢者までよく見られる。しかし、各社会教育施設のもつ情報が、これらに充分対応できる学習情報環境であるとは言えない。
 しかし、地域からの情報の発信の実態は、特定の分野や個人の興味関心による事例が多く、地域としての住民が発信する総合的な状況になっていない。
 また、発信される情報が全国的に相互に関連をもたず、単なる一方向の発信であり、各地の情報発信を新しい視点でどのような構成にすべきかを検討する必要がある。
 そこで生涯学習、特に、地域社会を視点として、情報活用の推進を目的とした総合的な情報の蓄積、並びに、生涯学習での地域情報の活用推進を目的として「学び」の情報ネットワークのポータルサイトが必要となる。
 
 
 
  参考文献
 
 
 
 
   



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