登録/更新年月日:2006(平成18)年1月27日 |
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博物館法は、第1章から第5章までの5つの章で構成されている。 第1章総則の第1条はこの法律の目的(国民の教育、学術、文化の発展に寄与)を示している。第2条は博物館の定義を行い、第2項で博物館は歴史、芸術、民族等、その種類の多様さ、教育機関としての位置づけ、調査研究機能、設置主体の限定、登録の必要性などを述べている。第3条では、博物館の事業として、資料の収集・展示、講習会・研究会等の教育活動、他の博物館等との連携等について具体的に述べている。第4条には館長、学芸員、学芸員補等の職員の設置、第5、6条に学芸員、学芸員補の資格を規定している。ここでいう学芸員資格は、あくまでも登録博物館に置かれる学芸員任命資格のことである。第8条は「博物館の望ましい基準」を定め、これを受けて昭和48(1973)年に「公立博物館の設置及び運営に関する基準」が、平成9(1997)年に「私立博物館における青少年に対する学習機会の充実に関する基準」が定められた。その後、平成15(2003)年に新たな「公立博物館の設置及び運営上の望ましい基準」が定められた。 第2章は、博物館の登録について規定している。第10条で「博物館を設置しようとするものは、当該博物館について、当該博物館の所在する都道府県の教育委員会に備える博物館登録原簿に登録を受けるものとする」と定めている。これは博物館登録原簿に登録することが正式な博物館になる要件であることを示している。また第12条には目的を達するために必要な博物館資料、職員、建物・土地、開館日数などの登録要件を規定している。 第3章では公立博物館について規定しており、第19条でその所管を教育委員会としている。ただし現在では首長部局所管の博物館(法的には博物館相当施設か博物館類似施設)が増加しており、実態に合っていない。第20条から第22条は、任意機関としての博物館協議会、第23条は入館料、第24条から第26条は補助金について定めている。補助金のうち、施設補助金が平成9(1997)年に廃止されたため、この条項は、現在、機能していない。 第4章は私立博物館に関し、税制上の優遇措置等について規定している。 第5章の第29条は博物館相当施設について規定している。これには相当施設としての指定要件が定められているが、国立の博物館、動植物園等の首長部局が所管する公立の博物館などが、博物館として登録できないことから設けられたものである。なお、平成9(1997)年の生涯学習局長通知により、設置者、所管を問わず相当施設として指定可能となった。 今日、博物館は大きな岐路に立たされていることから、この法律も実態に合った見直しが必要になっている。公立博物館における指定管理者制度の導入、PFIによる事業化など、民間活力を積極的に導入する流れや、私立博物館も公立博物館の市場化の進展により、マーケットでの競合が激化している。こうした中で最も重要なことは来館者サービスを持続的に向上させ、主たる利用対象者から事業の継続性を支持される博物館像を構築し、そのための改革を行うことである。その意味において、学芸員の資質向上方策を含む学芸員制度の見直し、そして博物館の振興と活性化を目指して制定された博物館法に準拠しない博物館類似施設が圧倒的に多いことを踏まえ、博物館登録制度の見直しは最優先の緊急課題といえる。 br> |
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参考文献 ・大堀哲『博物館法』(季刊教育法、110)エイデル研究所、1999年 ・大堀哲編著『博物館概論』樹村房、1999年 |
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