生涯学習研究e事典
 
登録/更新年月日:2013(平成25)年11月15日
 
 

参加型ボランティア活動 (さんかがたぼらんてぃあかつどう)

キーワード : ボランティア活動、参加型
藤原靖浩(ふじわらやすひろ)
2.地域における参加型ボランティア活動
  
 
 
 
   地域のボランティア活動が、活発に行われていることは、豊かで活力のある地域を形成する役割を担っている。また、地域に住む人々がボランティア活動を通して、交流することは、近年希薄化が叫ばれている地域の人間関係を取り戻し、共同体としての地域の再生につながるという重要な機能を果たしている。
 近年、地域の大人たちは、経済的に豊かになった生活スタイルの変化に伴い、個人的な時間を増加させている。多くの大人は、個人の生活に充実感や生きがいを求める傾向を高めている。その結果、自分の知識や技能を社会のために役立てることで、社会貢献をしたいと考える大人が増加している。このことは、生涯学習への関心の高まりと共に、大人のボランティア活動に対する関心や意欲が高まり、実際にボランティアとして行動する人数が増大していることからも分かる。
 地域におけるボランティア活動は、その地域ごとに異なる条件がある。自分の地域とは、異なる条件で行われた活動の場合、地域の人々にとってそれらは特異な活動として認識される。それゆえに、個々の地域では、その地域の条件に合った活動が計画されなければならない。
 個々の地域にあった活動を計画、実行するためには、参加型のボランティア活動の実施が必要である。地域の人々が、自分の地域の条件に合った活動を考え、実行することで、地域に求められる内容の活動を行うことができる。そのためには、地域の住民が積極的にボランティア活動に関わる意識を育むことが求められる。
 地域の子どもたちは、参加型ボランティア活動の中心的な役割を担うことが必要である。特に、各地域に住む中学生・高校生・大学生は、地域のボランティア活動に主体的に関わることで、自分が地域の一員であることを自覚し、地域に貢献する気持ちや郷土愛を育む。子どもは、学校とは異なる場でのボランティア活動を通して、異年齢・異世代の人間関係を体験し、将来の地域を担う人材としての資質・能力を育み高めるのである。
 地域の大人は、自分の知識や技能を用いて、子どもの参加型ボランティア活動を支援することが求められる。大人は、子どもが計画した活動をさらによいものにするために自分の意見を伝えることや、子どもの計画に不備があれば、その点を補完する役割を担うことで、子どもを地域全体で育てることができるのである。
 地域で行われる参加型のボランティア活動は、地域の子どもたちを中心に、地域の大人たちや家庭・学校などの子どもを取り巻くさまざまな環境によって支えられ、実施されるべきである。現在でも、地域単位で行われる参加型のボランティア活動の実践事例は、多いと思われるが、研究レベル、具体的には、学会発表や査読付きの研究論文での発表は少ない。今後、モデルケースとしての事例を積み重ねることで、汎用性を高め、参加型ボランティア活動が、さまざまな地域で実践できる「持続可能な活動」として確立されることが必要である。
 
 
 
  参考文献
 
 
 
 
  



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