生涯学習研究e事典
 
登録/更新年月日:平成19年11月30日
 
 

自然体験活動が少年の情意面に与える影響 (しぜんたいけんかつどうがしょうねんのじょういめんにあたえるえいきょう)

The influence of activities in the nature on the sympathy thought of children
キーワード : 自然体験活動情意いのちの大切さ感性達成意欲
渋谷健治(しぶやけんじ)
1.少年期の自然体験活動
  
 
 
 
  【定義】
 知・情・意と並んで称されることの多い「情意」は、情緒、情動、意志、すなわち、知識や理解といった認知領域を除く興味・関心、意欲、態度、価値観などのような人の心の働きを指す。
 「いのちの大切さ」とは、生命一般に対する尊重の念と合わせ、自尊感情や自己肯定を含んだ心情である。
 「感性」は、興味・関心、感情、態度、価値観などのような心情的要素を含み、周りの環境からの様々な刺激が持つ価値や質に自ら気づき感じる力(感受性)である。 
 「達成意欲」は、優れたことや自分自身にとって困難なことなどを成し遂げ、目標を完遂しようとする意欲である。
【説明】
 少年達が日常的に徒党を組んで自然の中で遊んだり冒険したりする機会が、市部・郡部を問わず極めて少なくなった。地域での異年齢による小集団や仲間でなされる外遊びも激減した。少年の遊びは、孤立した遊びや室内遊びが主流となっている。
 こうした活動や遊びの減少と歩調を合わせ、少年の人と関わる技術やコミュニケーション力など、対人関係能力の未熟さが課題となっている。
 一方、少年が直接関与する事件が跡を絶たず、少年の規範意識やモラルの低下、生命を大切にする心などの欠如が指摘されている。今日の少年には、豊かな自然や人と関わる「自然体験」「遊び体験」「集団体験」など、多様な体験が不足しているとの指摘も多い。
 自然体験活動等に関する全国調査の結果から、小学5年生を例にその実態を見てみたい。
 これまでしたことがない経験では、「草や木でかぶれる」(68.5%)「屋外で暗闇の中を歩く」(44.0%)、「野山で草木のにおいを感じる」(33.8%)などであり、3ヵ年の調査結果の推移ではこれらの経験が年々減少していく傾向にある。また、ふだんの遊びについて尋ねた設問では、「休みの日に家の近くの屋外で遊ぶ」、「家の周りの公園、山・川など自然の中で遊ぶ」については、それぞれ約4割の少年が「あまり遊ばない」「遊ばない」と答えている。
 その一方、「海や山などの自然の中に行くこと」については、86%が「好き」であり、休みが増えたら「空き地や公園など外で友達と遊びたい」「虫取り、魚釣りなど自然の中へ出かけたい」など、外遊びや自然体験活動に対するニーズは高い。
 少年期は、自我の広がりとともに外の世界への志向が高まり、好奇心が旺盛で活動性が高まる時期である。こうした時期に自然の持つ神秘や畏怖、包容力などに直接触れながら、集団やグループでなされる自然体験活動は、体力を高め、小集団社会の規範を学び、表現力やイメージ力などの向上が期待できる。また、仲間とのこれらの活動体験は、少年の自主性ややる気、仲間との連帯感などを育み、他者を理解し、思いやりをはぐくむ基盤となる。すなわち、集団でなされる自然体験活動は、将来の大人社会で生きていくためのトレーニングの場、機会としての機能を持つと言うことができる。
 
 
 
  参考文献
・東洋他編『学校教育辞典』教育出版、1988
・岡本夏木他監修『発達心理学辞典』ミネルヴァ書房、1995
・独立行政法人国立オリンピック記念青少年総合センター『「青少年の自然体験活動等に関する実態調査」報告書』平成17.10
・子どもの体験活動研究会『文部科学省委嘱調査 地域の教育力の充実に向けた実態・意識調査報告書』平成14.3 
 
 
 
 
  



『生涯学習研究e事典』の使用にあたっては、必ず使用許諾条件をご参照ください。
<トップページへ戻る
 
       
Copyright(c)2005,日本生涯教育学会.Allrights reserved.