生涯学習研究e事典
 
登録/更新年月日:平成18年1月27日
 
 

障がいのある人の理解と学習 (しょうがいのあるひとのりかいとがくしゅう)

comprehension and learning for the person with disabilities
キーワード : ノーマライゼーション(ノーマリゼーション)障害者基本法バリアフリーユニバーサルデザイン
岡田純一(おかだじゅんいち)
1.障害のある人をとりまく現状
  
 
 
 
   障害のある人と聞くとマイナスの要因が強い印象にとらわれやすい。それは1980年に世界保健機構(WHO)が発表した障害のある人に関する国際的な分類のひとつとして使用されていた「WHO国際障害分類試案」(ICIDH)のなかで、障害を機能障害(impairment)、能力低下(disability)、社会的不利(handicap)という3つのレベルから捉えようとする表記からもうかがえる。しかし、現在は「WHO新国際障害分類」(ICF)に改められ(2001年)、身体(body)と生活(life areas)の2つの次元から捉えて、機能的・構造的統合(functional and structural integrity)、活動(activities)、参加(participation)というようなプラスの側面も付加された。これは、一般に障害のある人に対する意識変革が生じた結果である。
 昭和45(1970)年に制定された「心身障害者対策基本法」(法律第84号)を大幅に改正して平成5(1993)年に明示された「障害者基本法」では、「この法律において『障害者』とは、身体障害、知的障害又は精神障害があるため、継続的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける者をいう。」(第2条)と規定している。従来は障害のある人をその症状ごとに細分化して捉えていたが、それを統括する視点で定義している。
 「障害者基本法」に倣い、障害を身体、知的、精神の3分類をして平成14(2002)年現在の総数をみると、身体障害のある人が約351万人、知的障害のある人が約46万人、精神障害のある人が258万人となり、総数で600万人を超している。この数値は日本の総人口の約5パーセントに相当し、障害のある人の占める割合は現在に向けて高まりつつある。3分類のなかでは身体障害のある人が最も多く、人口千人当たり28人の割合となる。この割合は、近年の日本における平均寿命の延びとも深い関連がある。なぜなら、加齢とともに身体に障害をきたす可能性が一因として考えられるからである。また、身体障害のある人については、これをさらに視覚障害、聴覚・言語障害、肢体不自由、内部障害に4分類すると、肢体不自由が約54.0パーセントと半数以上を占めている。しかしこのように分類しても重複障害もあり、個人差が大きく、多様なのが実状である。
 また、平成14(2002)年に閣議決定された障害のある人を支援する「障害者基本計画」に基づき決定された「重点施策実施5か年計画」では、最近の児童・生徒への学習障害(LD:learning disability)、注意欠陥/多動性障害(ADHD:attention deficit hyperactivity disorder)、高機能自閉症、の3点に対する配慮が必要としている。LDとは、基本的には全般的な知的発達に遅れはないものの、聞く、話す、読む、書く、計算する、推論する能力のうち、特定のものの習得と使用に困難を示す場合を指し、ADHDは7歳以前に現れ、年齢や発達に不均衡な注意力、衝動性、多動性を特徴とする行動の障害を指す。また、高機能自閉症とは3歳位までに現れ社会的関係の形成の困難、言葉の発達の遅れ、興味・関心の幅が狭く、特定のものに固執する特徴のある行動の障害である自閉症のうち、知的発達の遅れを伴わないものを指す。
*追記:法務省「平成17年度人権教育・啓発に関する年次報告書」(平成18年6月発行予定)では、「障がい者」を「障害のある人」と表記することになっており、本稿においてはこれに倣うこととした。
 
 
 
  参考文献
・厚生労働省「障害者白書」2005年、厚生労働省「身体障害児・者実態調査」、2001年
・厚生労働省「知的障害児(者)基礎調査」、2000年
・厚生労働省「患者調査」、2002年
・厚生労働省「社会福祉施設等調査」、2000年
・世界保健機関『ICF国際生活機能分類 国際障害分類改訂版』中央法規出版、2002年
・文部科学省「小・中学校におけるLD(学習障害),ADHD(注意欠陥/多動性障害),高機能自閉症の児童生徒への教育支援体制の整備のためのガイドライン(試案)」、2004年
 
 
 
 
  



『生涯学習研究e事典』の使用にあたっては、必ず使用許諾条件をご参照ください。
<トップページへ戻る
 
       
Copyright(c)2005,日本生涯教育学会.Allrights reserved.