生涯学習研究e事典
 
登録/更新年月日:平成18年11月2日
 
 

生涯学習支援ファンドのシステム化 (しょうがいがくしゅうしえんふぁんどのしすてむか)

キーワード : 市民公益活動官民協働型引き出し権モデル民間資金第三者評価制度
今西幸蔵(いまにしこうぞう)
1.市民公益活動とファンドの活用
  
 
 
 
  【現状】
 生涯学習社会における公共的・公益的な市民活動(以下、市民公益活動)は、市民主体の地域形成において重要な役割を担うことが期待されるが、市民公益活動の多くは未だ発展段階にあり、その活動基盤は安定したものになっていないことが指摘されている。特に財政基盤の脆弱さがあげられており、市民公益活動団体の自立に向けた財政支援策を講じることにより、団体を育成、支援していくことが急務であり、市民公益活動が必要とするファンドを制度的に提供できることが大きな生涯学習支援となる。そこで市民公益活動を促進させるためのファンドの提供を軸にした、新しい財政支援システムを具体化することが課題の一つとして考えられている。
【新しい財政支援システム構想の視点】
1)生涯学習と生涯学習行政の質的向上と量的変化への対応
 平成2(1990)年の中央教育審議会答申が示されてから14年が経ち、この間に国民の中で生涯学習の捉え方が広がり、多種多様な市民活動の中で行われている学習活動が生涯学習の一環として位置づけられつつある。また個人への利益還元を目的とした学習要求だけでなく、公共性・公益性を伴った活動への学習要求が高まり、それが市民活動の重要な課題になろうとしている。そして行政の生涯学習化の進展により、生涯学習行政の役割が増大しつつある点においても、生涯学習は質的向上を遂げている。生涯学習は国民の自発性に基づく自由な学習活動が基本であるため、こうした学習活動を「学習サービス」として数量的に把握することは困難な作業であるが、学校教育、社会教育、企業内教育、職業教育等で実施されている教育や多種多様な市民による学習活動の量的変化に注目する必要があると思われ、こうした活動が社会にもたらす効果を社会全体の中で把握し、その費用の分担について検討する必要があると考えられる。
2)公共サービスにおける社会的役割分担(協働)と新たな公共の創造
 今日の社会においては、官民協働の視点に立って公共課題に向けて共同責任をとり、サービスの供給者としての各々の役割を担っていくことが望ましく、そこでは新たな公共とされるような公共サービスの創造が課題となるであろう。そこで問題になるのは、社会に提供されるサービスのあり方や進め方を問題にするだけでは、公共の形成に向けての社会的担保が不足するという点である。公共を担う各主体が必要とする「学習」機会の確保については、「公共財」という観点から捉えられるべき性格のものと考えてよいだろう。その観点からみて、学習コストの問題は重要であり、学習経費負担のあり方について検討する必要がある。
3)生涯学習の振興と評価の観点に立ったファンドの活用
 公共的・公益的な性格をもつ市民公益活動が、生涯学習を基盤として成立するためには、またその振興を図るためには、生涯学習の観点に立った評価機能を活用することが重要である。ファンドを必要とする市民活動の目的が公共的・公益的なものであり、活動の自立に向けての支援を求めるものであるならば、そのことを明確に評価することが望まれる。市民活動団体自身や第三者機関等が、目標達成度、自立度、社会的効果等を測定し、その結果をふまえて必要とされるファンドの活用を図ることが重要とされる。
 
 
 
  参考文献
 
 
 
 
  



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