生涯学習研究e事典
 
登録/更新年月日:平成19年3月6日
 
 

大学開放 (だいがくかいほう)

university extension
キーワード : 大学拡張公開講座ユニバーサル・アクセス
服部英二(はっとりえいじ)
1.大学開放
   
 
 
 
  1)大学開放の意義
 大学開放とは、大学の有する人的・物的・知的資源や教育・研究機能を広く学外に提供するため、大学自らが行う教育事業活動をいう。
 ここでいう人的資源には、教員だけでなく広く職員や学生なども含まれる。また、物的資源はキャンパスや校舎などの施設・設備、大学が保有する物品などであり、知的資源には図書資料や大学に集積されている研究成果物、文化資産などが含まれると一般的に解されている。
 大学は、本来は学術の中心としてその学生達に広く知識を授けるとともに、深く専門の学芸を教授研究し、知的、道徳的及び応用的能力を展開させることを目的として設置されている。(学校教育法第52条)
 しかし、大学が持つ高度で専門的な教育研究機能を広く社会に還元していくことは極めて重要である。このため、大学の有する様々な知的資源を社会に開放し拡張していく取組はかなり以前から取り組まれてきた。こうした大学開放の始まりは、19世紀末にケンブリッジ、オックスフォードなどイギリスの大学で行われた啓蒙的な成人教育に由来するといわれ、その後アメリカやカナダなどにも普及した。
 我が国では、明治10(1877)年に早稲田大学の前身である東京専門学校が発行した講義録やそれに基づく通信教育などの先駆的な例も見られるが、本格的な取組については、昭和39(1964)年に当時の文部省の大学学術局長と社会教育局長とが連名でした「大学開放の促進について」がその契機といえる。その後、大学等での関心も高まり、昭和40年代後半以降から、公開講座の開設などが広く取組まれるようになってきている。しかしながら、一般的に行われている大学開放の取組については、社会人を対象とした特別なプログラムとしての公開講座等の開設や体育施設や図書館など大学の保有する施設の一部開放に留まっているのが現状である。
2)求められる大学の持つ高度な知的資源の開放
 大学が有する本来的な教育・研究機能の拡張(extension)であれば、大学の教育研究成果を広く社会に多様な方法で還元していくことが必要とされる。前述の昭和39年の通知においても既に、ア大学公開講座の拡充強化、イ地域振興への協力活動の推進、ウ大学分教室の設置促進、エ通信教育および放送・出版活動の充実振興などが掲げられていた。
 近年、大学の社会的責任や公共性が改めて問われ、社会にその「知」を還元していくことが強く求められている。こうした観点や社会人を対象とした新たな需要などに応えるため、大学や大学院を社会に開くというユニバーサル・アクセスを目指した様々な取組みが急速に進んでいる。例えば、社会人のための入学者特別選抜、夜間大学院や昼夜開講制、通信制大学院、科目等履修制度、サテライト開設などである。また、大学等の学術研究や知的資源などを分かりやすく社会に提供する場としての「ユニバーシティミュージアム」の整備なども進みつつある。
 今後とも、大学の社会的な使命を踏まえた教育研究機能の一層の還元や生涯学習社会を目指した多様な年代層への様々な方法による大学の「知」の開放が望まれる。
 
 
 
  参考文献
・香川正弘、三浦嘉久編『生涯学習の展開』ミネルヴァ書房、2002年
 
 
 
 
   



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