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登録/更新年月日:平成18年10月31日
 
 

文化芸術振興基本法 (ぶんかげいじゅつしんこうきほんほう)

Fundamental Law for Promotion of Arts and Culture
キーワード : 文化芸術の役割・意義文化芸術の振興に関する基本理念文化芸術の振興に関する基本的な方針文化審議会文化芸術創造享受権
根木昭(ねきあきら)
1.文化芸術振興基本法
   
 
 
 
   文化芸術振興基本法(平成13年法律第148号、以下「基本法」という)は、平成13(2001)年11月30日に国会において成立し、同年12月7日に公布、施行された。これにより、文化政策ないし文化芸術振興に関しては、同法が一般的な根拠法として機能することとなった。
 基本法は、前文及び全3章35箇条から構成される。
 前文は、文化芸術の役割・意義と法制定の趣旨を明示している。
 第1章(総則)は、法の目的、文化芸術の振興に関する基本理念、国・地方公共団体の責務、国民の関心・理解の涵養、法制上・財政上の措置等について規定する(第1条〜第6条)。
 第2章(基本方針)では、政府に対し、文化審議会の意見を聴き、文化芸術の振興に関する基本的な方針(以下「基本方針」という)の策定を義務付けている(第7条)。
 第3章(文化芸術の振興に関する基本的施策)では、
1)文化芸術の振興と普及に関わる事項として、a.文化芸術各分野の振興(第8条〜第12条)、b.文化財等の保存と活用(第13条)、c.地域における文化芸術の振興(第14条)、d.国際文化交流等の推進(第15)、e.国民の文化活動の充実(第21条〜第24条)
2)文化芸術の基盤の整備に関わる事項として、a.人材の育成と顕彰(第16条、第17条、第33条)、b.文化施設の充実等(第25条〜第28条)、c.情報通信技術の活用と情報の提供等(第29条、第30条)、d.民間の支援活動の活性化等(第31条)、e.国語・日本語教育と著作権等の保護及び利用(第18条〜第20条)
3)施策展開の基本姿勢に関わる事項として、a.関係機関等との連携等(第32条)、b.政策形成への民意の反映等(第34条)、c.地方公共団体の施策(第35条)
について、それぞれ詳細に定めている。
 基本法は、次のような特徴を有する。
 第1は、文化芸術の役割・意義を、文化芸術の「本質面」と「効用面」から明らかにしたことである。これにより、文化芸術の公共性を導き出す根拠が得られたといえる。
 第2は、文化芸術の振興に関する基本理念を、8項目にわたって詳細に規定したことである。特に、「文化芸術を創造し、享受することが人々の生まれながらの権利」(以下「文化芸術創造享受権」という)であることを明記した(第2条第3項前段)。
 第3は、政府による法制上、財政上の措置等の義務付けを行ったことである。
 第4は、政府による基本方針策定の義務付けを行うとともに、その場合における文化審議会の意見の聴取など手続の明確化を図ったことである。
 第5は、基本的施策について、上記のように第3章で詳細な内容を規定したことである。
 基本法第2条第3項前段で明記された文化芸術創造享受権は、憲法第13条の幸福追求権に内包されている権利が法律レベルで具体化されたものと解される。また、基本法前文、第1条及び第2条では、文化芸術活動を行う者の自主性・創造性の尊重が謳われているが、これらは、文化芸術創造享受権の実体的な基礎をなすものとしてとらえられる。
 なお、基本法第7条に基づく第1次基本方針は、平成14(2002)年12月10日に文化審議会の審議を経て閣議決定により定められたが、平成18(2006)年10月現在、翌19(2007)年4月からの実施に向けて、第2次基本方針が同審議会において審議中である。
 
 
 
  参考文献
・根木昭『文化行政法の展開−文化政策の一般法原理−』水曜社、平成17年
・根木昭『文化政策の法的基盤−文化芸術振興基本法と文化振興条例−』水曜社、平成15年
 
 
 
 
   



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