生涯学習研究e事典
 
登録/更新年月日:平成25年8月29日
 
 

生涯学習推進計画作成ガイドライン−数値目標の設定− (しょうがいがくしゅうすいしんけいかくさくせいがいどらいん−すうちもくひょうのせってい−)

キーワード : 生涯学習推進計画数値目標地域指標相関回帰分析
浅井経子(あさいきょうこ)
1.数値目標設定のためのガイドライン作成の目的、手順、方法
  
 
 
 
  【目的と位置付け】
 生涯学習推進計画立案に際しての数値目標設定のためのガイドライン作成の一手法を提出する。
 最近の推進計画等では数値目標が示されているが、多くの場合経験的にそれを設定しており、必ずしも根拠が明確ではない場合が多い。また地域づくりに寄与する条件整備の状態の基準を指標として示す必要があるように思われる。そのような中で、数値目標に根拠を与える手法をガイドラインとして示すことができれば、拡大しつつある地域格差の是正にも期待できる。
 そのようなガイドラインの性格を明らかにするために、山本恒夫の「理念の具現化から計画化へのフロー」(図1)に位置付けてみよう。生涯学習推進計画立案の際には目指すべき社会像を検討する。例えば市民憲章やまちづくりビジョン(図1の「理念」(1)や「理念の具現化」(3))等がそれにあたり、そこから生涯学習推進の「大目標」や「中小目標」を導出し、それらの目標を数値指標として設定することになる。ここで取り上げるガイドラインは指標を定めて数値化する手法を提示するものなので、図1では4から6に関わるガイドラインということになる。
【手順】
 例をあげて説明しよう。ここでは市民による地域づくり、安全安心、自立と連携といったビジョンがあった場合を考える。
 それらから生涯学習推進の目標を導出し、「市民が生涯学習を通して参画・協力する地域をつくる」「生涯学習を通して安全安心な地域をつくる」「職業に就き安定した生活をおくる」等を掲げる(図1の4または5)。次にそれらを数値化する地域指標を探すことになるが、ここではボランティア活動率、刑法犯認知率、中高年者就職率を取り上げる。ただし、それらは生涯学習推進計画に取り入れる指標とはならないので、それらに影響を与える生涯学習関係の指標を探す必要がある。
 ここではボそれらの地域指標に影響をもつと考えられ、生涯学習推進に直接かかわる講座等受講者率を取り上げる。
【方法】
 公的機関・施設等の講座等受講者率(以下、講座等受講者率という)の上述の地域指標に対する影響について分析する。その場合の講座等受講者率とは講座等全体と学習内容別についての人口100人当たりの延べ講座受講者数で、ここでは平成20(2008)年の社会教育調査の結果から算出した。講座等には学級講座のほかに研究会や読書会等も含め、さらに独立行政法人や民間の博物館、文化会館などの講座等も含めた。ただし、集会等は除いた。学習内容分類は教養関係、趣味関係、体育・スポーツ関係、家庭生活・家庭教育関係、職業関係、市民意識涵養関係、指導者養成・研修関係である。
 地域社会の状態と地域指標の関係は次のようになっていると考え、それらに対して講座等受講者率がどのような影響を与えているかを分析することにした。。
・市民参加による地域の活性化 ⇔ ボランティア活動率
・地域の安全・安心 ⇔ 刑法犯認知率(人口100人当たり)
・個人の職業確保 ⇔ 中高年者就職率
 これらの地域指標と講座等受講者率との関係は相関係数や単回帰分析及び重回帰分析を用いて分析した。用いたデータは東京都と沖縄県を除く45道府県のデータである。東京都の場合1人当たりの県民所得が飛びぬけて高く、沖縄県の場合高齢化率が飛びぬけて低く、両者のデータは外れ値になる可能性があったため除いた。
 さらに必要に応じて内閣府の平成20(2008)年の「生涯学習に関する世論調査」も活用した。その場合には10の地域ブロック別のデータを用い、地域指標については平均値を算出した。
 データについては表1を参照のこと。 添付資料:図1、表1
 
 
 
  参考文献
・浅井経子「生涯学習推進の効果に関する分析−ボランティア活動率、投票率、犯罪率への社会教育費の効果−」日本生涯教育学会論集28、平成19年7月。
・浅井経子「地域指標との関連からみた生涯学習支援と生涯学習の構造−生涯学習推進の効果分析を通して−」日本生涯教育学会論集29、平成20年9月。
・浅井経子「生涯学習推進の効果・その1、その2、その3」『生涯学習研究e事典』平成21年8月、平成24年3月。
 
 
 
 
  



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