生涯学習研究e事典
 
登録/更新年月日:平成22年11月12日
 
 

大学教育ボランティアによる教養教育と世代間交流 (だいがくきょういくぼらんてぃあによるきょうようきょういくとせだいかんこうりゅう)

general education supported by volunteers for university education from the local community and intergenerational communications
キーワード : 大学教育ボランティア教養教育世代間交流知の循環型社会
大橋眞(おおはしまこと)
1.大学教育ボランティア
  
 
 
 
   これまでの大学教育で社会人が講義を担当する例として、当該大学に専門領域の教員がいない場合に、専門職の社会人などが講義を担当することが行われてきた。このような講義においては、社会人は自らの専門職において身につけた専門的知識や事例などを学生に伝授することが主な役割であった。大学教育における教養教育に関しても、これまで講義形式で行われることが多く、授業において一般の地域社会人が関わる場合には、受講生として授業を受ける側にあった。徳島大学では、一部の教養科目において地域の社会人が、教員、学生と学習グループを作り(学びのコミュニティ)、テーブルを囲んで特定のテーマについて語り合う形式の授業を平成20(2008)年度より開設している。この形式の授業においては専門的知識を持たない社会人が関わるために、大学教育に関心の高い一般社会人を対象としたボランティア制度である。この授業に関わる社会人や教員は、自分の専門分野とは異なった分野の授業を担当することで、お互いに学び合う学習グループが形成されやすくなる。
■制度の運営
 公募は、大学公開講座のパンフレット等でおこなう。あらかじめ各授業における社会人の役割を明示したパンフレットを用意してそれに基づいた授業説明会を開いた後に、大学教育ボランティアの関わる授業を、原則として社会人の希望により決定している。それでも応募者が多数の場合は、担当教員が‘応募時に提出された書類や過去の実績などに基づき選考を行うことがある。内定した大学教育ボランティア候補は、担当教員を中心とした打ち合わせ会を経て、授業の目的や運営方法の共有化を図る。
■応募者の実際
 応募者の経歴で最も多いのが、会社員や公務員の経験者である。これに行き続き元教員や元医療関係者などであるが、自営業者(個人商店、農林業)なども含まれる。年齢構成では、全体の約半数が、定年退職後の60歳台であり、50歳台と70歳台を合わせると構成員の大多数となる。このような年齢構成になるのは、授業時間帯の制約からやむ得ない面があると思われる。
■運営上の成果と課題
 大学教育ボランティアの参画する授業を受講した学生の概ね7割以上の学生が、大学教育ボランティアの意義を肯定的に捉えている。受講生が少人数の場合には、この割合が高くなる傾向にある。また、社会人の側の評価もほぼ同様の割合で、このような形式の授業の意義を認めている。教員と社会人が目的意識を共有化するために、課外の学習会を開くことが有効であり、これを実現していくための具体的方策の立案が課題である。
 
 
 
  参考文献
・大橋 眞、中恵真理子、光永雅子、Steve T. FUKUDA、斎藤隆仁、菊池 淳、香川順子、廣渡修一「大学教育改革と教養教育-地域社会人活用による知の循環型社会構築に向けて」-『大学教育研究ジャーナル』 6号、2009、pp88-97
 
 
 
 
  



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