生涯学習研究e事典
 
登録/更新年月日:平成22年8月9日
 
 

地域社会の学校教育支援 (ちいきしゃかいのがっこうきょういくしえん)

school education support in community
キーワード : 学校教育支援学校支援地域本部事業家庭・学校・社会教育の統合産学社連携地域コーディネーター
宮崎冴子(みやざきさえこ)
1.社会教育による家庭・学校教育への支援
   
 
 
 
  【定義】
 平成18(2006)年改正の教育基本法では,第12条で今後の社会教育の方向として「個人の要望のみならず,社会の要請に基づく役割」が強調され,第2条の教育の目標では公共の精神に根ざす人間育成が示された。次いで,平成20(2008)年改正の社会教育法は,地域における学校、家庭、地域住民の関係者の連携を通じて「家庭・学校教育への支援の役割」を社会教育が果たすことを求めている。
 同年の中央教育審議会答申「新しい時代を切り拓く生涯学習の振興方策について」では,社会全体の教育力向上を図るため、学校、家庭、社会教育団体、地域で活動する企業、NPO等の連携等がそれぞれの役割に応じて共通の地域の目標を共有すること、多様な学習機会を提供し学習した成果を生かすことにより課題解決を図ることなどを提言している。こうした状況に鑑みて,平成20(2008)年度から学校支援地域本部事業が展開されている。これは「学校現場が求めるニーズに対して社会教育が支援すること」と定義し,地域社会の学校教育支援を意味している。
【説明】
 激変する社会において、家庭・学校の教育力低下に対応するための学校支援地域本部事業がクローズアップされている。その背景には,1)学校教育の充実と発展を願い,児童・生徒の学力向上と人間性の醸成のために地域ぐるみで支援する,2)教員の質的向上を実現し,心のゆとりを持って児童・生徒に接する,3)市民が培ってきた能力を発揮する機会や自己実現の場とする, 4)地域社会の活性化,担い手の育成等の必要性が挙げられる。具体的には, 授業の補助,部活動や学校行事の支援,環境整備,安全パトロール等, 地域ボランティアが教員のアシスタント役を担い,きめ細かな指導を実現することである。地域ボランティアと学校側の調整役を担うのが有償の地域コーディネーターである。その成果として学校教育の充実,教員の意識改革,学校と地域の連携で一貫した指導,地域社会の活性化等が挙げられる。
【課題】
 学校支援地域本部事業を実施するにあたり,旧来からの地域密着型事業を総合的に再点検し,組み直し,実効力ある事業を具体化する必要がある。運営には多角的で学際的な分野のメンバーで構成し,一部は公募を実施することも必要であろう。支援活動の際には, 地域ボランティアは学校の要請に応じた役割分担と責務の内容を理解し, 学校の主体性を保持しつつ協働し, 児童・生徒の基本的人権の遵守,人間尊重と公平性,プライバシーや秘密の保持をして無理をしないことも大切である。ボランティアの方が人生のベテランといえども, 教員のペースを乱してしまってはいけない。あくまでも地域ボランティアは児童・生徒,教員の支援者である。とくに,地域コーディネーターは学校と地域の調整を行うので,誠実で責任感のある人材が強く求められる。
 つまり, 学校支援地域本部事業は次代を担う若い世代への「循環型教育」(2002宮崎)として継承し,「元気な地域づくり、国づくり」に繋げることが重要である。また, 学校を舞台に能力発揮の機会や社会貢献の場と考えて活動することも重要である。地域社会における人々の知恵や技術を学校教育に注ぎ込み,「生き方を考えるキャリア教育」として活かされるような仕組みを構築し, 委託契約や補助事業の終了後には行政の中期計画に位置づける必要がある。そのためには地域本部事業の客観的な評価や改善を重ねて, 地域社会が一団となって学校教育を支援していくことが最大の課題となる。
 
 
 
  参考文献
・宮崎冴子「地域社会における学校教育への支援」『日本生涯教育学会年報第30号』, 2009年
 
 
 
 
   



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