生涯学習研究e事典
 
登録/更新年月日:平成18年1月27日
 
 

青年期の理解と学習 (せいねんきのりかいとがくしゅう)

understandings and learning of adolescence
キーワード : 青年期発達課題自我同一性の危機男女共同参画社会づくり青年期の学習内容
加藤千佐子(かとうちさこ)
1.青年期の発達理解
  
 
 
 
   青年期(adolescence)の一般的年齢区分は、学校制度と関連させて、中学校の時期を青年前期(13−15歳)、高等学校の時期を青年中期(16−18歳)、大学の時期ないしは就職の時期を青年後期(19−22歳)とする。
 青年前期に児童期から青年期へと移行する過渡期の時期である思春期(puberty、11−13歳)を含めたり、青年後期に就職や結婚による生活の独立時期(24、5歳)を拡大することもある。
(1)身体的発達の特徴と理解
 思春期・青年前期は急激な身体的変化を特徴とし、生理的変化では内分泌腺の顕著な発達が見られ、第2次性徴(secondary sex characteristics)が出現する。11、2歳頃から女子の第2次性徴が始まり、乳房の発育、月経の開始、骨盤の拡大等に現れる。男子は13、4歳頃から、声変わり、体毛の発生、精通・射精等が見られ、性ホルモンの作用で男女の体型、容貌に著しい性差が現れる。
 思春期・青年期の第2次性徴は誰にでも訪れる普遍的体験であり、生殖能力の獲得過程であり、ホルモン分泌の変化が男女の成長に画期的に作用する。
 フロイト(Freud,S.)に始まる精神分析理論は思春期の性的興奮による緊張・葛藤の克服・適応がその後の人格形成の基礎を決定すると説く。一方ファン・へネップ(van Gennep,A.1909)らの社会・文化理論では、思春期・青年期の身体的変化は社会的役割・地位の獲得に重要であり、青年期における社会適応の援助の仕組みとして通過儀礼(rite de passage)があると説く。また思春期の身体変化が及ぼす心理的変化について、ホルモンの変化が行動にどのように作用するかという直接効果モデルや、自我発達などの変数により媒介され、社会・文化的実践・文脈の変数により調節されるという媒介効果モデルなどがある。その他、性の文化的ステレオタイプの効果を強調するべム(Bem,S.L.)によるジェンダースキマー理論(gender schema theory)等がある。
(2)精神的発達の特徴と理解
 青年期の心理状態を「疾風怒涛な時期」とホール(Hall,G.S.)が説くように、「自分とは何か」「自分には何ができるか」「自分は何もできないのではないか」「何故自分を分かってくれないのか」等を問い続け、自己嫌悪や孤独に陥る。青年期の精神や行動の様態には、感情の昂揚と沈鬱、劣等感と優劣感、無能・不全感と傲慢・尊大な振る舞い、集団への帰属願望と孤立・逃避行動等のように、両極端に動揺し、相反する感情(アンビバレンツ)に支配される。
 青年期は親や教師や大人たちから理解されない苛立ちから、仲間と群れて粗暴な反社会的行動にでたり、ひきこもりのような非社会的行動にでることがある。アンビバレンツで矛盾する自己を誰かに理解してほしい、声をかけてほしい、見守ってほしいという願望を素直に表現できずに苦悩する時期でもある。「もう子どもじゃない」が、「大人の仲間入りさせて」もらえるほどには精神的にも社会的にも成熟していないところに青年期の問題が生じるのである。




 
 
 
  参考文献
・ファン・へネップ,A(1909)、綾部恒雄・綾部裕子訳『通過儀礼』弘文堂、1977 
 
 
 
 
  



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