生涯学習研究e事典
 
登録/更新年月日:平成18年1月27日
 
 

学習資源とネットワーク (がくしゅうしげんとねっとわーく)

learning resources and network
キーワード : 学習資源ネットワーク生涯学習支援ネットワーク
大西麗衣子(おおにしれいこ)
1.学習資源と生涯学習支援ネットワークの捉え方
  
 
 
 
  【学習資源の定義】
 学習資源は、学習者が学習に用いることのできる資源である。
 学習資源は、社会的資源の一種であり、人的資源、物的資源、文化的資源に分けることができる。
【学習資源の例】
 その学習資源を具体的に示すと、以下のようになる。
1)人的資源:例えば、指導者(講師や助言者等)、学習相談員、学習ボランティア、学習仲間等が挙げられる。
2)物的資源:例えば、生涯学習関係施設・設備、経費、教材・教具等が挙げられる。また、それらを確保して利用するための経費も含まれる。
3)文化的資源:例えば、知識や情報である。学習資源としての文化的資源としては、学習内容に関する内容情報、学習案内に関する案内情報等が挙げられる。
【ネットワークの定義】
 一般的にネットワークは、グラフ理論の考え方にもとづいて、点集合と枝集合からなるグラフの点と枝に一定の容量が付与されたものをいう。ネットワークは、システムという対象を捉える観点の一種であるが、対象の構成要素を、点集合と枝集合に限定したものといえるであろう。ネットワークの観点は、対象の構造や、構成要素間で交換される資源のバランスを捉える観点の1つとして用いられる。そのようなネットワークの観点を用いた手法としては、ネットワーク分析がある。ネットワーク分析は、対象をグラフ理論でいうネットワークの考え方にもとづいて捉え、ネットワークの構造(構成要素間の関係)や、それがネットワークの構成要素の行動にどのような影響を及ぼしているのかを明らかにする。
 社会的なネットワークには、組織間ネットワークと個人間ネットワークがある。
 組織間ネットワークの特色は、
1)ネットワークに参加している組織は、一定の独立性を保ちつつ、一定の関係づけのなかで相互に依存していること
2)組織の異質性を許すこと
3)組織間の関係は硬直的ではなく、柔軟でダイナミックであること
4)組織間では、何らかの資源交換が行われていること
5)組織間で行われる相互作用は、互恵的であること
にある。
 個人間ネットワークの特色は、
1)個人のネットワークへの参加や脱退は、自由であること
2)個人の独立性や個性を尊重しながら、他の参加者との連帯や全体への貢献を行うこと
3)参加者間での権限と責任は分散しており、情報が横に伝わること
4)全ての参加者はネットワークの構成員であるばかりでなく、参加者間をつなぐ存在であることを自覚する必要があること
にある。
【生涯学習支援ネットワークの捉え方】
 生涯学習支援ネットワークは、生涯学習支援のための仕組みを、上述のようなグラフ理論におけるネットワークの考え方にもとづいて捉えたものである。
 このような生涯学習支援ネットワークは社会的なネットワークの一種であり、生涯学習関係機関・施設・団体を構成要素とした組織間ネットワークのみならず、指導者間で構築されるネットワークや、学習者が相互に学習資源の交換を行うような個人間ネットワークも含まれている。これまでは、生涯学習支援ネットワークという場合には、組織間ネットワークを意味していることが多かったが、そのような組織間ネットワークの効用としては、1)ネットワークに参加している他の生涯学習関係機関・施設・団体の学習資源を有効に活用できる、2)学習ニーズに迅速に対応できること、などが挙げられる。
 
 
 
  参考文献
・山本恒夫他『生涯学習の設計』実務教育出版、平成7(1995)年
・安田雪「社会ネットワーク分析:その理論的背景と尺度」行動計量学、Vol.21 No.2、日本行動計量学会、平成6(1994)年、pp.32-39
・『新社会学辞典』有斐閣、平成5(1993)年、p.638、(長谷川公一「社会的資源」)
・『社会学事典』弘文堂、昭和63(1988)年、p.419、(友枝敏雄「社会的資源」)
・富永健一『社会学原理』岩波書店、昭和61(1986)年
 
 
 
 
  



『生涯学習研究e事典』の使用にあたっては、必ず使用許諾条件をご参照ください。
<トップページへ戻る
 
       
Copyright(c)2005,日本生涯教育学会.Allrights reserved.