生涯学習研究e事典
 
登録/更新年月日:平成19年12月4日
 
 

研究課題・生涯学習専門施設以外での生涯学習支援 (けんきゅうかだい・しょうがいがくしゅうせんもんしせついがいでのしょうがいがくしゅうしえん)

キーワード : 病院少年院生涯学習支援
坂井知志(さかいともじ)
1.生涯学習専門施設以外での生涯学習支援
   
 
 
 
   生涯学習の専門的な施設において学習者をどのように支援していくのかについて研究を深めることは当然であるが、そのことだけでは生涯学習の必要性を説明できない。生涯学習の社会的な有用性や存在意義の確立から研究されることが期待されている。
 このような視点を持った活動は病院の入院患者への本の朗読、図書の配本、高齢者の福祉施設でのビーズやカラオケ教室、少年院・刑務所の木工教室など既に行われているが、体系的・組織的な活動とはいえない。平成19(2007)年度茨城県水戸生涯学習センターと水府学院(少年院)において体系的・組織的に生涯学習講座が実施された。講座内容は、科学の面白さなどを伝える実験からスポーツ体験、救急救命の資格取得、職業意識の涵養など多岐にわたる。これらは、高校卒業資格検定試験が少年院や刑務所で受験できるように平成19(2007)年度から改正された影響もあり実施に至った。その発展として、茨城県立図書館からも少年院に配本が行われた。地元市町村の図書館と行われる事例は散見されるが、生涯学習の体系のなかで実施されることは希少な例といえる。昭和33(1958)年から平成元(1989)年まで大阪府立図書館と浪速少年院の図書の配本と図書館の見学の事例は特筆されるが、現在まで持続していない。また、生涯学習講座を少年院で実施するという例は国内では実施されていなかった。
 生涯学習の専門施設以外の施設に生涯学習専門施設が支援をすることの意味は、生涯学習の基本理念である「いつでも、どこでも、誰でも」が学習をし続けることを実現するという単純なことである。さらに生涯学習の研究を進める上で議論され続けている生涯学習の効果測定に有用と考えられる。少年院・刑務所で継続的に生涯学習講座を実施しているかどうかで再犯率に影響があるのか、病院においても同様にノイローゼや自殺率が減少するのか、という比較研究が可能である。もし、その研究結果により費用対効果が立証されれば、地域の安心安全や福祉と生涯学習は強い関連性が出てくることになり、生涯学習の社会的な位置づけが変化する。
 インターネット端末が国立成育医療センター(旧国立子ども病院と旧国立大蔵病院)の患者のベットサイトまで届いている時代にそのことの検証も平成18(2006)年度から子ども夢基金の活動として行われている。子ども向けのコンテンツ開発が行われている。子どもだけではなく、幅広い年代層で病院に入院している人々の中に、強く学習を望んでいる人々が存在する。
 このように生涯学習専門施設以外の施設に対する生涯学習支援は、生涯学習講座の提供や図書の配本、移動博物館、移動美術館の実施、映画界や演奏会など様々想定できるが、その実施方法は各施設の設置目的や慣習、省庁などの考え方が色濃く影響する。それらを幅広く実現するためには、画一的に入学することを前提としないことなど新たな研究活動が不可欠である。
 
 
 
  参考文献
坂井知志「生涯学習の可能性」日本生涯教育学会年報第27号、2006年10月
 
 
 
 
   



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