生涯学習研究e事典
 
登録/更新年月日:平成19年7月12日
 
 

リハビリテーションと生涯学習 (りはびりてーしょんとしょうがいがくしゅう)

キーワード : リハビリテーションICF
川井八重(かわいやえ)
1.リハビリテーション
   
 
 
 
   リハビリテーションとは、「Re=再度」「habilis=適する」を意味するラテン語に由来する。中世ヨーロッパでは、法王庁から破門を解かれ復権することを意味した。すなわち「リハビリテーション」とは「人間の尊厳の回復」を意味し、当事者の自己決定の上で人生を豊かに過ごすための「全人的復権」を意味する。
 リハビリテーションは何らかの「障がい」に対応して実施されることが多い。2001年、WHO(世界保健機関)は、障害に関する国際的な共通言語として1980年以来使用してきた国際障害分類(ICIDH:International Classification of Impairments, Disabilities and Handicaps)を変更し、ICF(International Classification of Functioning, Disability and Health)として再策定を行った。この変更は、世界的なノーマライゼーションの潮流とともに、ICIDHの基盤である「疾患などから機能障害が発生し、機能障害が能力低下を生み、能力の低さが社会的不利(ハンディキャップ)を生じる」という従来の考え方が、「機能障害が克服されなければハンディキャップも克服されない」という捉え方になり一面的で誤解を招くと同時に、利用者の意思も反映されていないとして実現された。
 ICFは、以下のように説明されている1)。
人が生きていくための機能全体を「生活機能」としてとらえ以下の3要素から成るとした。
1)身体の働きや精神の働きである「心身機能」
2)ADL(日常生活動作)・家事・職業生活や屋外歩行など生活行動全般である「活動」
3)家庭や社会生活で役割を果たすことである「参加」
 これらの3要素が低下した状態をそれぞれ「機能障害」「活動制限」「参加制約」とし、これらを総称して「障害(生活機能低下)」と読んでいる。この生活機能低下を、個人因子や環境因子などの背景に対して配慮がなされることにより、できるだけ予防しあるいは小さくして、当事者のQOLを最大限に高めることが必要とされている。
 リハビリテーションは、障がいを受けた時点から急性期・回復期・維持期というプロセスをたどるが、どの時点においても当事者及び家族等は生活機能の維持回復に対する動機づけ及び強い意志と、それを可能にする知識とスキルを獲得することが必要である。当事者が機能低下(障がい)を自らに起きたものとして受け容れ、毎日の生活に自信を持って適応し、同時に全人的復権を成し遂げていく。当事者及び家族は「生涯におけるすべての時間(lifelong)と全ての生活空間(lifewide)がリハビリテーションである」という認識を持つことが重要であり、その実現のために当事者に対する長期的支援が必要とされている。この一連のプロセスは、医療などからの支援と、家族やコミュニティからの支援の継続によって可能となる。これは当事者の全人的復権を成し遂げる上で必須のことといってよい。
 すなわち、リハビリテーションを効果的に進めるためには、lifelong、lifewideの双方の次元における一体的・包括的な支援が重要である。その意味からリハビリテーションには、現在のように医療面・福祉面からの支援に止まるのでなく、生涯学習(lifelong learning)による支援が不可欠といえよう。

1)障害者福祉研究会編『ICF-国際生活機能分類−国際障害分類改訂版』中央法規,2002.
 
 
 
  参考文献
 
 
 
 
   



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