生涯学習研究e事典
 
登録/更新年月日:平成23年11月7日
 
 

社会人の学びの場としての「ホイスコーレ札幌」 (しゃかいじんのまなびのばとしての「ほいすこーれさっぽろ」)

Hojskole Sapporo as a school for adult
キーワード : 「ホイスコーレ札幌」生涯教育社会人学校デンマークホイスコーレ
生越玲子(おごしれいこ)
1.「ホイスコーレ札幌」の設立まで
  
 
 
 
   デンマークではグルントヴィが農閑期に農家の若者に対し教育をした。1840年代は、上流階級はドイツ語を話していた。ドイツ語を使用する官僚階級への不信と農民と貴族は平等の人間であることなどを、青年に認識させた。親の職業を継ぐ制度などを変革しようとした。この教育の場をフォルケホイスコーレという。 
 高齢化社会の一員である筆者は、北海道東海大学に北欧についての研究室があることを知り、平成15(2003)年58歳で社会人入学をした。すべての講義が楽しく興味深く、毎日が充実していた。人生経験があるためか、講義の内容がよく理解でき、講義を一度も休むことなく過ごした。初めて聞く講義の内容についてはさらに深い知識を得たいと思った。専門に学問をされてきた教師の講義は身体にしみていくように感じるものであった。このまま学び続けたいという望みがあり、長く学び続けるために、地域に社会人の学びの場があればよいと考え、また同様に考えている人が多いものと感じ、社会人の学び場を創設する構想を持ち、大学院に進み修士論文のテーマとした。
 日本は世界一の長命国となったが、高齢化社会の対応について模索されている段階にある。急激な社会の変化に適応するため、多様な知識が必要とされる。
 デンマークにはグルントヴィ(1793-1872)の思想に基づいたフォルケホイスコーレ(日本語訳、国民高等学校)があり、その一つのヘルネスホイスコーレは社会人を対象にし寄宿しながら共に学ぶ場となっている。指導教官の計らいで、このホイスコーレから奨学金の恩恵にあずかり、このホイスコーレに、4カ月間留学する機会を得た。デンマークのホイスコーレの本質は相互理解により「人生はいかに生きるべきか」を考え、探す場であるので大学などの教育機関とは異なり、試験などの評価がないのが特徴である。
 日本における社会人教育機関の創設までに各方面で講演し、アンケート調査をしたが「必要ない」は皆無であった。創設後12回の講演依頼があり、社会人の学びの場「ホイスコーレ札幌」に関心が高いことを理解した。
 場所探しが非常に困難であった。小中学校は少子化で空き教室があったが、安全を重視するため学校開放は困難であった。一校から了解を得たが、校長の転勤が予想され実現できなかった。市の会館、区民センターなどは、申し込みが多く借りるには抽選であったり、お葬式があると急遽空け渡さなければならず、場所について困難を極めた。東海大学の教室を借りるため学長室に依頼した。大学は若い学生のためにあることを言う教師もあったが、教室が解放された。大学に所属していないため大学の理解を得ることに困難を要したが、東海大学の理念である、「座学からフィールドへ」の実践が認められた。ついで札幌市生涯教育委員会、札幌市南区生涯教育課の後援を得た。
 大学の研究支援課からの南区のまち作りセンターへチラシ印刷と回覧板配布の協力は受講生を得るための強力な支援であった。
 そして平成20(2008)年秋、第1期「ホイスコーレ札幌」の開講にこぎつけた。
 
 
 
  参考文献
・オーヴェ コースゴー著、川崎 一彦、 高倉 尚子約『光を求めて―デンマークの成人教育500年の歴史―』東海大学出版会、1999年11月5日。
・スティーヴン・ボーリシュ著、瀬沼克彰監修、福井信子訳『生者の国―デンマークに学ぶ全員参加の社会』 新評論、2011年6月20日。
 
 
 
 
  



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