生涯学習研究e事典
 
登録/更新年月日:平成21年2月5日
 
 

行政、NPOとの協働 (ぎょうせい、えぬぴーおーとのきょうどう)

キーワード : NPO法市民活動
阪本陽子(さかもとようこ)
1.行政、NPOとの協働
   
 
 
 
   「協働」とは、共通の目的を達成するために、複数の組織が連携・協力して活動することである。一方が主導・管理したり、相手に依存したりする関係は協働とはいえず、互いに自立的であり、対等であることが原則である。それぞれが単独では目的達成がなされない場合にのみ、協働という形が選択されうるのであり、それぞれの特性と能力に応じた役割分担を前提とした関係が不可欠である。
 行政と市民の関係に「協働」という言葉が用いられるようになったのには、次のような背景がある。
 1990年代初頭のバブル崩壊とともに、縮小されていく行政サービスと多様化する住民ニーズには隙間が生じた。人々の価値観も大きく変わり、依存してきた公共サービスを市民自らが分担していくような機運が高まった。平成10(1998)年に特定非営利活動促進法(NPO法)が成立し、市民活動団体が社会活動を行ううえで、法的・制度的認知を受けられるようになったことで、NPOは新たな公共サービスの担い手としての地域が確立された。そして、地域課題を解決するために、行政とNPOの協働という仕組みが広く選択されるようになった。現在では多くの自治体において、その運営に市民との協働というスタイルが取り込まれており、教育、福祉、環境など様々な分野で成果をあげている。
 平成12(2000)年以降、地方自治体ではNPOの活動支援のための条例の制定など、行政が、市民の社会貢献活動や市民団体の法人格取得を後押ししている。また、平成16(2004)年に中央教育審議会生涯学習分科会から出された「今後の生涯学習振興方策について(審議経過の報告)」においては、「国・地方公共団体等と関係機関・団体等との関係の見直し」の中で、生涯学習・社会教育関連行政機関とNPOを含む関係機関等の協働の必要性が述べられており、その関係性が期待されている。
 行政とNPOの協働の在り方には、その形態や役割分担の持ち方など、事例によって様々な実態がある。行政がNPOの既存の事業を支援する場合や、行政がNPOに事業を委託するなどして行政の役割を補完する場合、あるいは双方の補完ではなく共に事業を立ち上げていく場合もある。役割分担についても、コスト、事故時や事業成果の責任などにおいて、負担の度合いは等量ではない事例も多い。
 行政とNPOの協働は、市民が主体的にまちづくりに参画する不可欠な取り組みとして推進されてきている。しかし、地方自治体の財政赤字を背景として、その業務の一部をNPOに委託する動きのなかで、行政がNPOを「下請化」する、あるいは「育成する」という考えに陥ることも指摘されており、真の協働の実現にはそのパートナーシップのあり方が問われている。また、2003年(平成15)以降、指定管理者制度の導入、社会教育施設等をNPOが受託管理する事例も現われ、行政とNPOの協働は、その形態や役割分担に広がりが見られている。
 
 
 
  参考文献
・武藤博己、『分権社会と協働』、ぎょうせい、2001年
・阪本陽子、綾牧子「生涯学習・社会教育関連行政とNPOとの『協働』の再検討〜協働事業の実態調査からの分析〜」日本生涯教育学会論集29、2008年
 
 
 
 
   



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