生涯学習研究e事典
 
登録/更新年月日:平成22年5月20日
 
 

コミュニティ・ビジネスと生涯学習 (こみゅにてぃ・びじねすとしょうがいがくしゅう)

キーワード : コミュニティ・ビジネス
松澤利行(まつざわとしゆき)
1.コミュニティ・ビジネスと生涯学習
   
 
 
 
   近年、「コミュニティ・ビジネス」という言葉がかなり聞かれるようになっている。これは、少子高齢化、コミュニティの崩壊等、地域が抱える課題が山積する中で、行政がサービスとして行うものから外れ、企業が業として取り組んでいくものにも当てはまっていないような事柄に、市民主体のビジネスとして取り組んでいこうとする動きが全国的に広がってきたことからである。
 コミュニティ・ビジネスには統一された定義がない。
 一般的には、「地域が抱える課題を、地域住民が主体的になって、ビジネスの手法を用いて解決する取り組み」といわれ、そのポイントとしては、「地域課題の解決・地域貢献を目的にしている」、「地域住民が主体である」、「ビジネスの手法を用いる」ことの3点である。
 行政の中では、経済産業省の地方ブロック機関である関東経済産業局が、他に先駆けて担当部署「コミュニティビジネス推進チーム」を設置し、産業振興の一環としてコミュニティ・ビジネスについての調査研究、マニュアルの作成、セミナー開催や優良事例の周知等を通じてその振興を図っている。
 また、経済産業省全体としても積極的に補助事業等を実施しており、経済産業省以外では、厚生労働省が雇用創出等の視点で、国土交通省が地域おこし等の視点で、農林水産省が農林水産業支援の視点で、それぞれコミュニティ・ビジネスについて研究し、また支援等を行っている。
 「生涯学習でメシが食えるのか」、市町村の現場で生涯学習の仕事に携わっている多くの職員には、一般住民からこのような問いがよくある。生涯学習が主に趣味教養の分野で語られるため、生活のための学習活動というイメージがあまりないことからである。
 公民館等の講座・教室等の事業展開も趣味教養の分野が多い。もちろん趣味教養がいけないということではなく、生涯学習の大きな柱であることに違いないが、偏りがあるという指摘もあり、生涯学習は生活を向上させるためにもあることを、わかりやすく説明する必要がある。そのためには、学んだ成果をビジネスに生かしていく実践例が必要であり、その意味でコミュニティ・ビジネスの取り組みに期待したい。
 現在の地域コミュニティは、地域の中での安全安心、少子高齢化、地域経済の活性化、環境問題や文化の継承など課題が山積する。社会が大きく変化し、それを構成する要素が変わり、それぞれのつながりが変化したことによって、地域コミュニティは危機的状況といえる。
 そうした中で、この状況を救うべく地域の住民自らが立ち上がり、ビジネスの視点で学習活動を行うことによって継続性が図られることは、「生活のための生涯学習」が実践されることであり、今まで生涯学習に対する誤解があるとすればその誤解を払拭することにつながることになる。
 生涯学習により自己の向上が図られ、あわせて生活の向上が図られることで真の生涯学習社会の実現につながるのではないだろうか。地域コミュニティの課題解決につながるコミュニティ・ビジネスは、それを進めるのに有効な手段であると考える。
 成功例については、関東経済産業局が紹介する優良事例を参照されたい。
 
 
 
  参考文献
 
 
 
 
   



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